クラウド移行は費用対効果が重要!ROIで効果を見える化しよう!
- ROI
- クラウド移行
クラウド移行を実現することで、企業はさまざまなメリットを享受することができます。激しく変化する市場環境や顧客ニーズに対応するためには、今やクラウドの利用は必要不可欠であると言えるでしょう。
ただし、無計画なクラウド移行はコストや時間を無駄にしてしまうリスクがあるため、事前に費用対効果をチェックする必要があります。費用対効果の算出には、「ROI(Return On Investment)」という指標が多く利用されています。ROIを正しく算出することで、クラウド移行に対する効果を事前に把握できます。
本記事では、クラウド移行の基礎的な内容やメリットに加えて、ROIの説明、メリット、デメリットを一挙にご紹介します。クラウド移行時にROIを考えるためのポイントも紹介していますので、自社でクラウド移行を検討されている方はぜひご覧ください。
目次
クラウド移行とは?
はじめにクラウドについて、簡単にご説明します。クラウドとは、「インターネット上の仮想基盤」を意味する言葉であり、PCやスマホなどの端末にデータを保存するのではなく、インターネット上に存在する仮想空間(サーバー)に保存して、運用する形態を指す言葉です。
つまり、クラウド移行とは、自社にサーバーを置いてシステムを運用するオンプレミス環境を仮想空間であるクラウド環境に移行することを意味しています。
近年、消費者ニーズの多様化や新技術の発展により、従来のオンプレミス運用では様々な変化に対応できない場面が増えてきました。そのため、多くの企業がクラウド環境への移行に踏み切っており、各クラウドベンダーは様々なクラウドサービスを市場に展開しています。
クラウドの詳細については、以下の記事が参考になります。
企業のクラウド化が加速中!クラウド導入のメリットとは?
クラウド移行のメリット
初期費用を抑えることができる
オンプレミスの場合は、すべての設備を自社で揃える必要があり、数百万単位のコストが発生することも少なくありません。
一方、クラウドは自社でのサーバ購入やシステム開発が不要なため、初期費用を抑えることができます。そのため、少額投資でスタートできる点は、クラウドの大きなメリットだと言えます。
運用負荷を軽減することができる
自社でサーバーを運用する場合、メンテナンスや保守を行なうための技術員が必要になります。システムに問題が発生したときは、早急に改善しなければならないため、大きな運用負荷がかかってしまいます。
クラウド利用における保守や有事対応は、すべてクラウドベンダーが巻き取ってくれるため、システムの運用負荷を軽減することができ、結果として人件費の削減にも繋がります。
なお、利用するクラウドサービスによっては自社とクラウドベンダーの責任分界点が存在します。クラウドベンダー側の責任範囲ではない箇所は、自社で対応する必要があるため注意してください。
導入後すぐに始めることができる
オンプレミスの場合、システムをゼロから設計・開発していくため、利用開始までに何ヶ月もの期間を要します。
一方、クラウドは既に完成されているサービスを利用するので、環境を移行した後もすぐに使い始めることができます。ビジネスの世界はスピードが命です。迅速に社内のシステム環境を整えられる点は大きなメリットです。
クラウド移行は費用対効果が重要
クラウドを利用することで様々なメリットを享受できますが、闇雲にクラウド移行を進めれば良いというわけではありません。無計画にクラウド環境へ移行した場合、想定外の高額請求が発生したり、社内工数が増大する危険性もあります。
そのため、クラウド環境へ移行する前に具体的な費用対効果を見ておく必要があります。クラウド移行を実現するために発生するコストと、クラウド移行によって得られるメリットを天秤にかけて、慎重にクラウド移行の実施判断を行いましょう。
費用対効果を算出するためには、「 ROI ( Return On Investment )」という指標が一般的に利用されています。次章で ROI について詳しくご説明します。
ROI とは
言葉の意味
ROI とは、『 Return On Investment 』の頭文字を取った略語であり、日本語では、「投資利益率」や「投資収益率」と表現されることが多いです。
ROI は投資に対する収益を示す指標であり、ROI を事前に算出することで、投資に対して十分なリターンがあるかどうかをチェックすることができます。
ROI の数値が高ければ収益率の高い(十分なリターンがある)投資であり、逆に数値が低ければ収益率の低い(十分なリターンがない)投資であると判断されます。
ROI のメリット
ROI を利用することで、投資に対する費用対効果を調べることができます。
例えば、金額規模は小さいプロジェクトであったとしても、ROI の数値が高ければ収益を取れているということなので、そのプロジェクトはビジネスとして成功していると言えます。
逆に、壮大なプロジェクトで多額のお金が動いていたとしても、ROI の数値が低ければ、ビジネスとしては成り立っていないと言えるでしょう。
このように、特定のプロジェクトに対して ROI を算出することで、そのプロジェクトが投資として成功しているのか否かを客観的にチェックすることが可能になります。
ROI のデメリット
ROI は長期的なビジネスの状態を判断しにくいというデメリットがあります。スタートしたばかりで今後発展していく予定の事業がある場合、ROI の数値は低くなるケースが多いです。
事業の立ち上げ期には、初期費用や初期経費が発生し、利益が出るまでに一定期間が必要なビジネスも存在するため、長期的な目線で進めているビジネスほど ROI は悪くなります。
また、数値化できない利益は ROI に反映することができません。例えば、店内の雰囲気を変えるためのインテリア変更は投資に該当しますが、このインテリア変更がどのように利益に影響したのかを可視化することは困難です。この場合、 ROI で効果を見える化することは不可能です。
このように、長期的なビジネスや数値化できない投資・利益に関しては、ROI で正確な効果を測ることは難しいと言えるでしょう。
ROI の算出方法
ROIは、「利益(売上 - 売上原価 - 投資額) ÷ 投資額 × 100」の計算式で算出されます。
計算結果が100%以上になった場合は、利益額が投資額を上回っている(ビジネスとして成立している)ということです。逆に100%未満になった場合は、利益額が投資額を下回っている(ビジネスとして成立していない)ということになります。
ひとつ例として、「投資額1,000万円」「売上4,000万円」「売上原価500万円」のモデルケースで考えてみましょう。この場合の計算式は以下の通りです。
(売上4,000万円 - 売上原価500万円 - 投資額1,000万円) = 利益2,500万円
利益2,500万円 ÷ 投資額1,000万円 × 100=250%
つまり、算出結果は「 ROI = 250% 」となり、投資に成功していることがわかります。
上記の例では、1年間で投資額を回収できていますが、実際のビジネスでは数年間かけて投資額を回収するケースが多いです。その場合、ROI は100%を下回る数値になります。
例えば、「当期純利益1,000万円」「投資額4,000万円」のモデルケースを考えた場合、計算式は以下の通りです。
利益1,000万円 ÷ 投資額4,000万円×100=25.0%
この ROI が毎年続いた場合は、約4年で投資額をすべて回収できる計算になります(投資額100% ÷ ROI 25.0 = 4.0年)。仮に、投資額を2年で回収したい場合は、1年間の ROI が50%以上になる必要があるため、さらに利益を伸ばさなければいけません。
このように、投資を回収したい期間によって、ROI の適正値は変動します。回収期間を念頭に置きながら ROI を活用することで、より戦略的なビジネスを展開できるようになります。
費用対効果が高いクラウド移行するために考えるROIのポイント
初期投資を明確化する
クラウド移行では、サービスの契約料、月々のランニングコスト、運用・管理に必要な人的コスト、などが初期投資に該当します。クラウドサービスの場合、契約料が0円というケースも珍しくありません。そのため、一般的にはランニングコストの方が大きな金額になることが多いです。
また、クラウド移行の作業はシステム設計を伴うため、要件定義や全体設計にかかるコストが発生します。これらすべてを合計したものがクラウド移行における初期投資であり、ROI を考えるときの指標になります。
正しい ROI を算出できるように、クラウド移行で発生した初期投資は明確にしておきましょう。
投資利益を把握する
投資利益を考える上で大前提となるのが、クラウド移行後の収益は「クラウドの恩恵を受けたものである」という考え方です。クラウド移行による収益は、「収益差分 + コスト差分」によって算出されます。
例えば、収益差分は、実際の収益変動を予測し、収益への影響が認められた場合は収益差分として計上します。一方、コスト差分は、クラウド移行で発生した金額の増減差分を示しています。例えば、運用コスト・減価償却の削減などが、コスト差分に該当します。
このように、さまざまな差分を考慮して複雑な計算を行うことで、クラウド移行による当期利益を算出します。ROI を考える上で投資利益は外すことのできない重要なポイントです。
マクロ視点で全体を俯瞰する
クラウド移行で ROI を考えるときは、マクロの視点で全体を俯瞰してください。クラウド移行に対する ROI を算出する場合、細かい部分に注目すると、移行後の効果に対する予測が不十分になってしまうリスクがあります。
そのため、クラウド移行後の運用やサポートなども考慮して、全体をマクロの視点で捉える必要があります。長期的な目線を持ち、多角的にあらゆる要素を考慮して初めて、正しい ROI を算出できます。
まとめ
本記事では、クラウド移行に関する基礎的な内容から、移行するメリット、そして ROI について詳しくご紹介しました。
顧客ニーズや市場環境が激しく変化する現代において、クラウド移行はすべての企業が検討すべき経営課題となっています。ただし、無計画なクラウド移行は、コストや時間を無駄にしてしまう危険性があります。
ROI を活用して、事前に費用対効果をチェックしておきましょう。客観的な数値で確認することで、自社の状況を冷静に振り返ることができ、クラウド移行後の運用も含めた長期的な目線で、環境移行を検討することができるようになります。
本記事を参考にして、ぜひクラウド移行を検討してみてはいかがでしょうか。
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