マイクロサービスとは?開発の生産性を高めるための情報技術を徹底解説!
- マイクロサービス
マイクロサービスという言葉をご存知でしょうか?小さな単位のサービスを連携させて管理・運営するためのアーキテクチャであり、現在多くの企業がマイクロサービスを活用して生産性向上を実現しています。しかし、マイクロサービスという言葉を知っていても、正しく意味を理解している方は少ないのではないでしょうか?
そこで本記事では、マイクロサービスの概要やメリット、デメリット、活用事例など、あらゆる観点から一挙にご紹介します。マイクロサービスの導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
マイクロサービスとは?
マイクロサービスの概要
マイクロサービスとは、個別開発した複数の小さなサービスを連携させて管理・運営を行うためのソフトウェアのアーキテクチャです。2014年、ソフトウェアエンジニアのマーチン・ファウラー氏が記事の中で提唱し、世の中に広く普及することになりました。
マイクロサービスでは、1つのサービスが1つのプロセスとして稼働します。サービス同士は API で連携を取るものの、基本的にはそれぞれが独立して存在しているため、各サービスの特性に合わせた設計を行うことが可能です。また、障害発生時はサービスごとに影響度合いを確認できる点も大きな特徴となっています。
近年の主流となっているアジャイル開発
昨今、消費者ニーズや働き方の多様化により、企業におけるビジネスの在り方も大きく変化しています。そして、急速な環境変化に対応するためには、ソフトウェアの機能追加やリリースを迅速に進めることが重要になります。
このような背景から、近年は「アジャイル開発」と呼ばれる開発手法が主流となっています。アジャイル開発とは、開発プロセスを複数の段階に分けて、機能単位の小さなサイクルで繰り返すものです。
アジャイル開発を効率的に進めるためには、大規模かつ複雑なアプリケーションを機能ごとに開発できるマイクロサービスのアーキテクチャが重要になります。だからこそ、現在マイクロサービスが注目を集めており、実際に多くの企業がマイクロサービスを活用しているわけです。
アジャイル開発に関心のある方は、以下の記事がオススメです。
アジャイル開発とウォーターフォール開発との違いとは?自社に合った開発手法の選び方まで徹底解説!
マイクロサービスのメリット
マイクロサービスを活用することで、企業は多くのメリットを享受できます。本章では、代表的なマイクロサービスのメリットをご紹介します。
開発のリードタイムを短縮できる
マイクロサービスの開発では、小規模かつ独立した複数のチームで開発を進めていきます。そのため、チーム間の連携を取りやすく、結果として開発のリードタイムを短縮することができます。また、メンバーの一人ひとりが任される業務範囲が広いため、社員の成長に繋がりやすいというメリットもあります。
サービスごとに異なる技術を採用できる
マイクロサービスでは、サービスごとに独立した形で開発を進めていくため、それぞれに対して異なる技術を採用できます。つまり、既存コードの制約やレギュレーションの影響を受けることなく、状況に合わせて自由に設計を行うことが可能になります。
障害への耐性や保守性が高い
従来のアーキテクチャでは、特定のアプリケーションに障害が発生した場合、その他のアプリケーションにも影響が出ていました。その点、マイクロサービスではサービスごとに独立性が担保されているため、障害の影響を受けることはありません。また、仮にサイバー攻撃を受けたとしても被害を最小限に抑えることができるため、セキュリティの強化にも繋がります。
サービスを容易に管理できる
マイクロサービスはサービスごとの機能が小さいため、タスク量や必要人員を抑えることができ、サービスの全体像を容易に把握可能になります。また、それぞれが独立したサービスとして存在するため、新しい技術をテストする際も、スピーディーかつ効率的に作業を進めることができます。
ソースコードを再利用でき効率的にサービスを運用できる
各機能を個別のサービスとして細分化しておくことで、効率的な再利用が可能になります。例えば、予算管理システムの機能をマイクロサービスとして開発している場合、その機能だけを取り出すことで別のサービスに再利用できます。
以前に開発したマイクロサービスのソースコードを再利用することで、新しいシステムの開発工数を大きく削減できるのです。企業の生産性向上を実現する上で、この点は大きなメリットであると言えるでしょう。
マイクロサービスのデメリット
マイクロサービスには、メリットだけではなくデメリットも存在します。運用する上で注意すべきポイントになるため、確実に理解しておきましょう。
サービスごとに管理が必要になる
マイクロサービスでは各サービスが独立して存在するため、サービスごとに管理を行う必要があります。仮に人数が少ない企業でマイクロサービスを導入した場合、複数システムを少人数で管理することになり、工数が増大するリスクがあります。このように、各サービスが独立している点はマイクロサービスのメリットであると同時に、デメリットにもなり得ることを理解しておきましょう。
サービス構成が複雑になるリスクがある
マイクロサービスでは独立した小さなサービスを連携しますが、運用方法によっては構成が複雑化するリスクが存在します。効率的にマイクロサービスを運用するためには、各サービスの設計段階から綿密に計画を立て、各機能の分割方法などを細かく定めておくことが大切です。
マイクロサービスに必要な技術
本章では、マイクロサービスに必要な3つの技術をご紹介します。どれもマイクロサービスを語る上では欠かせない存在なので、確実に理解しておきましょう。
API
API とは、「 Application Programming Interface 」の頭文字を取った言葉であり、「アプリケーションをプログラミングするためのインターフェース」を意味しています。
インターフェースとは、異なる機器・装置を接続し、交信や制御を行うための装置やソフトウェアのことです。つまり API とは、アプリケーションとプログラムを繋ぐための役割を持つものであるとご理解ください。
API でアプリケーションの一部を外部公開することで、第三者でも簡単にアプリケーションの各種機能を使えるようになります。例えば、異なるサービス間でチャット機能や認証機能などを共有することができ、より便利な運用を実現することが可能です。
IT 分野においては「 API を公開する」という言い回しが頻繁に使われますが、これは「外部のアプリケーションと連携できる状態にする」という意味です。異なるアプリケーション同士を連携させることで、さらなる機能拡充が可能になり、利便性が向上します。
マイクロサービスにおいては、個別に開発したサービス同士を連携させるために API が活用されています。
コンテナ
コンテナとは英単語の「 Container (容器)」を語源としており、 IT 分野では「ホスト OS 上にアプリケーションを起動するために必要なアプリケーション本体、設定ファイル、ライブラリなどを一つにまとめたもの」を指す言葉です。
従来、物理マシン上では1つの OS が動作しており、その基盤上で特定のアプリケーションが動いていましたが、「仮想化技術」の発展により、1つの物理マシン上で複数のゲスト OS を起動できるようになりました。仮想環境で「ホスト OS 」や「仮想化ソフト」を起動することで、仮想化を実現しています。
仮想化は、企業が抱える様々な課題解決に寄与しましたが、一方で課題もありました。例えば、仮想化ソフトウェアを利用した場合、トラブルが発生した際の課題特定が困難になること等が挙げられます。このような仮想化の課題を解決するために生まれたのがコンテナです。
仮想化においては仮想マシン上でゲスト OS を起動しますが、コンテナではゲスト OS を使いません。ゲスト OS を起動せずにアプリケーションの実行環境を構築できるため、仮想化と比較してメモリや CPU のリソースを節約することができます。
マイクロサービスにおいては、基礎技術としてコンテナが活用されています。プロセスごとにコンテナを用意し、プロセス間の連携を API で行うイメージになります。
コンテナに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
コンテナ化とは?仮想化との違いやメリット、デメリット、ユースケースまで詳しく紹介!
Kubernetes
Kubernetes とは、コンテナの運用管理および自動化を実現するためのオープンソースソフトウェア(OSS)であり、一般的には「コンテナオーケストレーションシステム(ツール)」と呼ばれています。
コンテナにはアプリケーションを実行する機能が備わっていますが、コンテナの管理や別サーバーとの連携はできません。 Kubernetes はこれらの課題を解決するためのツールです。
例えば、2つ以上のコンテナを運用する場合、ネットワークやストレージなどの連携管理が必要になりますが、 Kubernetes はこれらの管理を行うことができ、仮にコンテナやアプリケーションにトラブルが発生したときでも慌てることなく運用を継続することが可能です。
マイクロサービスを効率的に運用していくためには、この Kubernetes を有効的に活用することが重要なポイントになります。
Kubernetes に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
Kubernetes とは?概要、機能、メリット、活用事例まで徹底解説!
マイクロサービスでスピーディーな開発運用するポイント
マイクロサービスにおいて、スピーディーな開発運用を実現するためには「サービスディスカバリ」と「サービスメッシュ」という2つの考え方が重要になります。
サービスディスカバリは、プラットフォーム上で動作しているサービスについて、ポート番号や IP アドレス、ホスト名などをリアルタイムで把握するための方法であり、これらを迅速に知ることでスピーディーな開発運用が可能になります。
サービスメッシュは、マイクロサービス同士の連携をさらに強化するための方法であり、セキュリティ担保や障害対応などに役立ちます。サービス間の通信をうまく制御することで、マイクロサービス特有の課題を解決するのです。
ここでは概要しか記載していませんが、マイクロサービスの課題解決には様々な要素を考慮する必要があります。専門的な知識が必要になりますので、場合によっては自社だけで解決することが難しいケースもあると思います。
そのような場合は、第三社のサポートを利用するのも有効な手段になります。弊社トップゲートでも「 T-PAS ( TOPGATE Professional Advisory Service)」というサポートサービスを用意していますので、ご興味があればお問い合せください。
T-PAS の詳細は以下リンクよりご覧いただけます。
Google の技術活用サポートサービス「T-PAS (TOPGATE Professional Advisory Service)」
マイクロサービスの活用事例
現在、多くの企業がマイクロサービスを業務の中で活用し、業務効率化や生産性向上を実現しています。
マイクロサービスのイメージを捉えるために、オンラインショッピングの例を考えてみましょう。仮にオンラインショッピング全体が大きなサービスだとすれば、マイクロサービスは認証やアクセス許可など、小さい単位で個別のサービスを開発し、それぞれを連携させます。
このように、用途や目的に応じて小さい単位でサービスを作ることで、あらゆる変化に対して柔軟に対応できるアプリケーション開発を実現する、というのがマイクロサービスの本質だと言えます。
ここから先は、実際にマイクロサービスを活用している企業の事例を見ていきましょう。
Netflix
Netflix はストリーミング配信を行っている米国の企業です。同社は、数千のマイクロサービスから構成されたシステムを開発し、機能変更に要する時間を大幅に短縮しています。
マイクロサービスの活用により、エラーやトラブルが起きた場合でも大きな影響が出ないように配慮することで、ユーザーの強い信頼を勝ち取っています。ユーザーのニーズが高度化かつ多様化している現代において、信頼性を損なわないようなシステム運用は、企業の明暗を分ける重要なポイントだと言えます。
LINE
元々 LINE はメッセージを送るだけのシンプルなアプリケーションでした。しかし、会社の規模が大きくなり、 LINE の利用者が増加するにつれて、スタンプや LINE ニュース、音声通話など、様々な機能をアプリケーションに実装しようと考えたのです。
しかし、これらの機能追加を一つの web アプリケーションサーバーで実現するのは困難でした。そこで LINE は、中央機関に柔軟な開発体制を整備した上で、マイクロサービスを順次追加していく手法を採用しました。これにより、多くの機能を効率的にアプリケーションに追加することが可能になりました。
Amazon
従来型のアーキテクチャに限界を感じた Amazon は、 HTTPS の API のみでマイクロサービス同士を連携させる仕組みを独自に構築しました。これにより、サービスごとの独立性を確保するとともに、開発のスピードとクオリティを改善したのです。
また、サービスごとに開発チームを分けたことで、社員が担当サービスに対して強い責任感を持つようになりました。結果として、サービス改善に取り組むモチベーションが向上し、 Amazon がさらなるサービス品質向上を目指す上での原動力となっています。
マイクロサービスの実現には Google Cloud (GCP)がオススメ
市場にはマイクロサービスを実現するためのソリューションが数多く存在します。ただし、マイクロサービスは自社の工数増大に直結するリスクがあるため、できるだけ使いやすいソリューションを選択することが大切です。
その観点では、 Google が提供する Google Cloud (GCP)がオススメのサービスになります。以下、 Google Cloud (GCP)の概要とマイクロサービスの実現にオススメな理由をご説明します。
Google Cloud (GCP)とは?
Google Cloud (GCP) は Google が提供しているパブリッククラウドサービスです。同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 提供の Azure や Amazon 提供の AWS などが挙げられます。
Google Cloud (GCP) は 「 Gmail 」や「 YouTube 」などの有名サービスで実際に動いているプラットフォーム技術をそのまま使用でき、非常に高いインフラ性能を誇ります。コンピューティングやストレージをはじめ、様々な機能が搭載されています。
この Google Cloud (GCP)に内包されている Google Kubernetes Engine (以下、 GKE と記載) を活用することで、効率的にマイクロサービスを運用することができます。
Google Cloud (GCP)については、以下の記事で詳しく解説しています。
クラウド市場が急成長中?数あるサービスの中でGCPが人気の理由5選!
Google Kubernetes Engine (GKE)とは?
Google Kubernetes Engine (GKE)は、 Google Cloud (GCP)上で提供されている Kubernetes のマネージドサービスです。マスターノードは GKE が管理を行うため、ユーザー側は管理の必要がありません。
GKE はコンソールを利用してクラスターを容易に構築でき、負荷に応じたノードの自動スケーリングも可能となっています。また、 Google Cloud (GCP)のサービスアカウントや IAM を連携して権限を制御するなど、セキュリティを強化するための機能も多く実装されています。
さらに、ロードバランサーとの連携によるネットワークトラフィックの負荷分散やロギング・モニタリングなど、利用企業にとって嬉しいポイントが数多く存在します。
このように GKEは、自社の構築や運用の負荷を軽減しながら、 Kubernetes 環境としてクラウド上で利用できるコンテナのプラットフォームとなっています。 Google Cloud (GCP)の各種機能とも容易に連携でき、様々なことを実現できる点も GKE が人気を集めている理由の一つと言えるでしょう。
ロードバランサーや負荷分散に関して理解を深めたい方は以下の記事がオススメです。
負荷分散の重要性とは?ロードバランサーのメリット、デメリット、選び方を徹底解説!
マイクロサービスの実現に GKE がオススメな理由
GKE はマネージドサービスとして提供されており、自社の工数を掛けずに利用できるため、効率的な Kubernetes 運用を実現できます。 Kubernetes 活用が重要となるマイクロサービスにおいては、まさに最適なソリューションだと言えるでしょう。
さらに、2021年5月に開催された Google の公式イベント「 Google Cloud Day : Digital ’21 」では、 GKE に関する新たなアップデートが発表されました。マネージドやスケーラビリティなど、あらゆる観点でサービス改良が加えられており、利便性が大きく向上しています。
例えば、マネージドの分野では「 GKE Autopilot 」という新しいモードが搭載され、より工数を掛けずに運用できるようになったほか、様々なユースケースに対応できるようになりました。また、スケーラビリティの分野では「 Multidimentional Pod Autoscaler (MPA)」や「 Multi – POD CIDR 」といった新機能が追加され、より柔軟な運用を実現しています。
このように、 Google Cloud (GCP) を活用することで、自社の工数を掛けずにマイクロサービスを実現することができます。マイクロサービスの導入を検討している場合は、ぜひ Google Cloud (GCP)を選択肢に加えてみてください。
GKE の最新情報は、以下の記事で詳しく解説しています。
Google Kubernetes Engine ( GKE )の2021最新機能を一挙紹介!さらに便利で使いやすくアップデート?
まとめ
本記事では、マイクロサービスの概要やメリット、デメリット、活用事例など、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。内容をご理解いただけましたでしょうか。
マイクロサービスを活用することで、開発リードタイムの短縮やサービスの再利用など、様々なメリットを享受できます。実際、 LINE や Amazon などの有名企業もマイクロサービスを導入しており、自社の生産性向上を実現しています。
マイクロサービスを実現するためのソリューションは数多く存在しますが、導入を検討するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。 Google Cloud (GCP)に搭載されている GKE を使うことで、自社の工数を掛けずに Kubernetes を活用でき、効率的なマイクロサービスの実現が可能になります。
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本記事を参考にして、ぜひ Google Cloud (GCP)の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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