アジャイル開発とウォーターフォール開発との違いとは?自社に合った開発手法の選び方まで徹底解説!
- アジャイル開発
- ウォーターフォール開発
昨今、市場ニーズの多様化に伴い、企業がシステムやソフトウェアを自社で開発する機会も増えています。開発手法には様々な種類がありますが、代表的なものとしては「アジャイル開発」と「ウォーターフォール開発」が挙げられます。
どちらも効率的な開発を進めるために有効な手法ですが、両者の違いを正しく説明できますでしょうか?本記事では、アジャイル開発とウォーターフォール開発について、それぞれの特徴や違い、自社に合った開発手法の選び方まで一挙に解説します。
目次
アジャイル開発とは?
概要
アジャイルは「機敏な」という意味の英単語である「 agile 」を語源としています。現在、アジャイル開発はシステム開発における主流となっており、多くの企業が採用している開発手法です。開発プロセスを複数の段階に分けて、機能単位の小さなサイクルで繰り返す点が大きな特徴となっています。
アジャイル開発では自社要件に優先順位づけを行い、重要なものから開発を進めていきます。そのため、優先度が高い機能から順番に実装し、徐々に1つの大きなシステムが完成するイメージです。
開発手順
アジャイル開発では、事前に細かい開発計画を立てるのではなく、開発中に発生するあらゆる状況変化に対応しながら開発を進めていきます。
「要件定義→設計→開発→テスト→リリース」という各プロセスを機能単位の小さいサイクルで繰り返します。これにより、各機能の開発を独立させることができるため、途中の仕様変更など柔軟な開発が可能になります。
アジャイル開発では、このサイクルの反復を「イテレーション(反復)」と呼んでいます。一般的には、1週間から4週間がイテレーションの周期であり、イテレーションごとに新しい機能をリリースすることを繰り返します。
開発の手法
アジャイル開発には以下3つの手法が存在します。
開発手法 | 概要 |
---|---|
スクラム | 複数人が一つのチームを結成し、それぞれの役割を明確にしながら協力して開発を行う |
エクストリーム・プログラミング | プログラマーを重視した開発手法であり、開発途中の仕様変更や機能追加などを想定して開発を行う |
ユーザー機能駆動開発 | ユーザー目線の機能価値を重視した開発手法であり、ログイン機能や購入機能などのユーザー向け機能を中心に設計や開発を行う |
それぞれ特徴が異なるため、自社の目的に合わせた開発手法を選ぶことが大切です。
メリット
アジャイル開発は「ビジネスは変化するもの」という考え方を前提とした開発手法です。そのため、開発途中の仕様変更に強い点がメリットとして挙げられます。
また、優先すべき機能から順番に開発を行えるため、システムをリリースした後に運用を走らせながら改善を行うことができます。つまり、利用開始までのリードタイムを短縮できるため、スピード感を持ってビジネスを展開できる点もアジャイル開発のメリットだと言えます。
デメリット
アジャイル開発のデメリットとして、スケジュール管理が難しい点が挙げられます。アジャイル開発では、仕様や要件に合わせて開発スケジュールを決めるため、プロジェクト全体の進捗把握が難しくなります。
そのため、大規模なコストをかけて長期的かつ計画的に開発プロジェクトを進めたい場合には、アジャイル開発が不向きになるケースもあると言えるでしょう。
ウォーターフォール開発とは?
概要
ウォーターフォールは「滝」という意味の英単語である「 waterfall 」を語源としています。ウォーターフォール開発もまた、多くの開発現場で利用されている開発手法であり、事前に決めたプロセス(流れ)に沿って開発を進めることから名前に「滝」が含まれています。
ウォーターフォール開発では、システムに実装するための機能や仕様をすべて決めてから開発がスタートします。そして、各工程を確実に完了させ、すべてのプロセスが終わるとシステムが完成するイメージです。
開発手順
ウォーターフォール開発では、以下の手順に沿って開発を進めます。
1.要件定義 | 開発するシステムが満たすべき機能や仕様を確認する |
2.設計 | 開発プロジェクトの全体像やスケジュールを明確化する |
3.開発 | プログラミング言語を用いて開発を進める |
4.テスト | 成果物にバグや問題がないかどうかをチェックする |
5.リリース | 実際に市場へリリースする |
ウォーターフォール開発の特徴は、上記の1〜5のプロセスを順番に実行することです。最初に全体設計を行い、スケジュールに沿って開発を進めていくため、途中で前の工程には戻らない仕組みとなっています。
メリット
ウォーターフォール開発には、開発するシステムの質を担保しやすいというメリットがあります。事前にシステムの要件や開発目的などを明確にするため、開発プロジェクトに関わる全員が同じゴールに向かって走ることができます。
また、ウォーターフォール開発はすべての工程を見える化し、スケジュールを組んで順番に開発を進めていくため、プロジェクト全体の進捗管理が容易になる点もメリットの一つであると言えます。
デメリット
ウォーターフォール開発のデメリットとしては、開発期間が長期化する点です。細かい要件定義などを最初に行うため、どうしても実際の開発を進めるまでに時間を要します。また、当初の計画通りに開発を進めていくため、開発途中の仕様変更には対応しにくいという特徴を持っています。
これらを踏まえると、スピード優先で開発を進めたい場合や、状況に応じた柔軟な開発を実現したい場合には、ウォーターフォール開発は不向きになるケースもあると言えるでしょう。
アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い
開発期間
アジャイル開発は優先順位をつけて順番に開発を進めていくため、利用開始までの時間を短縮できます。一方、ウォーターフォール開発は最初に細かい要件や作業スケジュールを立てるため、開発が長期化する傾向にあります。
柔軟性
アジャイル開発は各機能の開発を個別に進めるため、状況に合わせて柔軟に計画を変更できます。一方、ウォーターフォール開発はすべての作業計画が決められており、その内容に沿って開発が進められるため、柔軟性は低くなります。
開発のクオリティ
アジャイル開発は個別開発の積み重ねで最終的なシステムが完成するため、場合によっては機能の全体最適化がなされていない可能性があります。一方、ウォーターフォール開発は全体設計を行なった上で開発を進めていくため、開発の質を担保しやすいという特徴があります。
進捗管理の容易さ
アジャイル開発は機能ごとに個別開発を繰り返すイメージなので、プロジェクトとして全体を管理するのは困難です。一方、ウォーターフォール開発は細かい開発スケジュールを事前に決めておくため、容易に進捗管理を行うことが可能です。
プロセス改善の即時性
アジャイル開発は反復的に開発を行うため、一つの開発で得られたプロセス改善をすぐに運用へ反映できます。一方、ウォーターフォール開発は、最終的な成果物が完成するまでプロジェクトが終わらないため、プロセス改善を施せるのは次のプロジェクトになります。
テストの実行頻度
アジャイル開発は細かな開発を何度も繰り返すため、その都度テストを実行します。一方、ウォーターフォール開発は最初に全体の開発プロセスを決めるため、テスト工程でのみテストを実行します。
開発者の作業範囲
アジャイル開発においては、開発者はすべての開発工程を一気通貫で行うことが一般的です。一方、ウォーターフォール開発は各工程ごとに専任の担当者がつき、様々な役割を持った複数の開発者が協力して開発を進めていきます。
開発者教育の難易度
アジャイル開発では一連の開発工程を実行するスキルが求められるため、実践の中で反復的に経験を積むしかなく、開発者教育の難易度は高いと言えます。一方、ウォーターフォール開発は作業範囲が限定的であるため、開発者教育の難易度は比較的低いと言えるでしょう。
まとめ
以下、アジャイル開発とウォーターフォール開発の主な違いを表にまとめます。
アジャイル開発 | ウォーターフォール開発 | |
---|---|---|
開発期間 | 短い | 長い |
柔軟性 | 高い | 低い |
開発のクオリティ | 場合によっては質が落ちる | 一定の質を担保できる |
進捗管理の容易さ | 難しい | 容易い |
プロセス改善の即時性 | 高い | 低い |
テストの実行頻度 | 多い | 少ない |
開発者の作業範囲 | 全工程を一気通貫で対応 | 工程ごとの限定的な対応 |
開発者教育の難易度 | 高い | 低い |
このように、アジャイル開発とウォーターフォール開発には様々な違いが存在します。一概に「どちらが良い」というものではないので、自社の状況や開発の目的を踏まえて、最適な開発手法を選択してください。
また、最近ではアジャイル開発とウォーターフォール開発の両者のメリットを活かした「プロトタイピング」という開発手法も生まれています。
プロトタイピング開発はウォーターフォール型の開発工程をベースとしつつ、設計フェーズでは積極的にアジャイル開発を行う手法です。まずは設計フェーズでプロトタイプ(試作品)を作り、アジャイル開発のイテレーションのようにレビューを繰り返します。そして、全体設計が確定してから本格的な開発に移り、その後はウォーターフォール開発の手順に沿ってリリースまでを実行します。
ポイントとしては、設計段階で本番環境と同一のプロトタイプ画面を確認できることです。完成後のイメージを具体化しやすいため、従来のウォーターフォール開発ではテスト工程まで気づかなかった課題を早期に発見できます。また、全体のベースはウォーターフォール開発であるため、アジャイル開発のデメリットである進捗管理の煩雑さもクリアできます。
今回の記事では、プロトタイピング開発に関する詳しい説明は記載しませんが、アジャイル開発とウォーターフォール開発は併用が可能であり、うまく運用することで開発効率を高められるという点は覚えておいてください。
自社に合った開発手法の選び方
アジャイル開発がオススメのケース
スピード優先で開発を進めたい場合はアジャイル開発がオススメです。自社の要件や実現したいことを明確にし、その上で優先順位付けを行なって、必要な部分からすぐに開発を進めることができます。システムの核となる部分が完成すれば、システムを利用開始しつつ、その他の箇所は運用を走らせながら並行して開発することも可能です。
また、途中で開発内容が変わる可能性がある場合もアジャイル開発を選択してください。アジャイル開発は機能ごとに個別の開発サイクルを繰り返すため、状況の変化に応じて臨機応変に対応できます。このように、スピード感や柔軟性を重視する場合は、アジャイル開発を選ぶと良いでしょう。
ウォーターフォール開発がオススメのケース
大規模な開発プロジェクトなど、長期的に進捗管理をしながら開発を進めたい場合はウォーターフォール開発がオススメです。最初に細かい開発スケジュールを立て、その内容に沿って順番に開発を進めていくため、全体進捗を把握しやすくなります。
また、開発するシステムのクオリティを優先したい場合もウォーターフォール開発を選択してください。ウォーターフォール開発では、細かい要件などを踏まえて入念に全体設計を行うため、完成するシステムのクオリティは高くなります。このように、進捗管理や開発のクオリティを重視する場合は、ウォーターフォール開発を選ぶと良いでしょう。
外部企業への開発依頼がオススメのケース
アジャイル開発とウォーターフォール開発は、開発手法の違いはあれども、自社で開発を行う点は共通しています。そのため、開発に必要な IT 人材がいなければ、開発を進めることはできません。
仮に、自社に IT に詳しい人間がいなかったり、開発に必要な人員が不足している場合には、外部企業へ開発を依頼することも有効な選択肢になります。外部の開発会社は開発のプロなので、高いクオリティの開発を短いスケジュールの中で実現します。
ただし、外部企業へ依頼する場合には会社選びがとても大切なポイントです。会社選びを間違えてしまうと、期待していたシステムは完成せず、時間とコストを浪費することになります。
失敗しない開発会社の選び方に関しては以下の記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。
失敗しないシステム/ソフトウェア開発会社の選び方!判断指標から判断基準まで一挙公開
開発依頼を検討されている方に合わせて読むことをオススメしたい記事はこちらです。
クラウドベンダーから自社に最適な提案を引き出す!RFP(提案依頼書)の作成方法とは?
失敗する確率を大幅に減らすために開発依頼の仕方とフェーズごとのチェックポイント
まとめ
本記事では、アジャイル開発とウォーターフォール開発について、それぞれの特徴や違い、自社に合った開発手法の選び方まで一挙にご紹介しました。
アジャイル開発とウォーターフォール開発は、どちらにもメリット・デメリットが存在するため、一概に「どちらが良い」と言い切ることはできません。自社の要件や目的に合わせて、最適な開発手法を選択してください。
また、自社だけでは開発を完結できない場合には、外部企業への開発依頼を検討しましょう。開発のプロに任せることで、クオリティの高いシステム開発を短納期で実施してくれます。ただし、会社選びがとても大切なポイントになるため、この記事内容を参考にして、慎重に検討してください。
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