GCP の機械学習機能 - エアバスと Evernote はなぜ GCP を選んだのか
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この記事は2016年9月・2017年3月頃に公開された Google Cloud Platform Japan Blog の記事をもとに編集・執筆しています。
はじめに
企業において AI(人工知能)は重要な役割を担いつつありますが、その一方で、状況についていけず苦労を強いられている企業も増えています。 Google では重要な目標の 1 つとして、そうした AI についていけない企業に手を差し伸べ、あらゆる規模や業種の企業、あるいは洗練された組織が、機械学習をイノベーションのツールとして活用できるようにすることとしています。今回は、 GCP を導入することで、機械学習機能を活用している事例について説明します。
目次
エアバスにおける GCP の活用事例
ヨーロッパの航空宇宙機器開発製造会社として有名なエアバスにおいても、 GCP が採用されています。
Google Cloud Machine Learning Engine の採用で精度やスピードを向上
エアバスでは、Google Cloud Machine Learning ( ML )Engine を採用したことにより、衛星から取得した画像の視覚的異常を修正する精度やスピードを向上できました。画像の視覚的異常を修正する精度やスピードの向上という問題は、エアバスにおいて何十年も続いてきた課題でしたが、Google Cloud ML Engine の採用により、その問題が解決されることとなりました。
Google Cloud ML Engine の採用によってこれらの問題が解決されたことによりエアバスでは、これまで以上に現在入手可能なあらゆる範囲の地球観測データを提供し続けることができるようになった、とコメントを発表しています。
Google Cloud ML Engine の特長
エアバスに多大な貢献をすることになった、 Google Cloud ML Engine の特長を以下に記載します。
1) オペレーションではなくモデルに注力する
Google Cloud ML Engine は、開発者やデータサイエンティストが優れた機械学習モデルを構築し、本番環境に反映できるようにするマネージドサービスとなっています。Cloud ML Engine にはトレーニングと予測の機能があり、これらを組み合わせて使うことも、それぞれを個別に使うこともできるようになっています。Cloud ML Engine は大企業も採用する実績のあるサービスで、衛星画像の中で雲を識別する、食品の安全性を評価する、顧客からのメールへの返信時間を 4 分の 1 に短縮するなど、さまざまな問題を解決するために活用されています。
2) トレーニング
機械学習では、データに隠されたパターンを見つけられるようシステムに対して、繰り返しデータパターンを投入してトレーニングする必要があります。また、優れた設計のモデルを構築し、より多くの高品質なデータを投入してトレーニングできれば、ソリューションにより導き出される成果もより高まります。最先端モデルの構築には、Google フォトから Google Cloud Speech まで多くの Google プロダクトを支えているディープ・ラーニング フレームワークである TensorFlow を使用できるようになっています。
Cloud ML Engine を使用すると、モデル・アーキテクチャを自動的に設計および評価して、専門家に頼らずに素早く最適なソリューションを構築できるようになっています。分散型環境での強力なトレーニングが必要なら TensorFlow Estimators、カスタムの Estimator を簡単に構築するなら Keras、詳細な制御を行うなら下位レベルの TensorFlow を利用するというように用途に応じたサービスが準備されています。Cloud ML Engine は拡張性に優れているため、ユーザーが保有するあらゆるデータを活用できるようになっています。マネージド・クラスタ上であらゆる TensorFlow モデルを大規模にトレーニングすることが可能です。
3) 予測
予測を活用すると、アプリケーションやワークフローにインテリジェンスを組み込むことができます。トレーニングの完了したモデルがあれば、その学習結果を予測によって新しいデータに適用できます。ML Engine では オンライン予測とバッチ予測という2 種類の予測を利用できるようになっています。
オンライン予測: リアルタイムかつ高可用性のフルマネージド・サーバーレス環境に ML モデルを反映します。Google Cloud のグローバル予測プラットフォームは自動拡張機能を備えているため、いかなるデータ処理能力にも対応します。また、安全なウェブエンドポイントが提供されており、アプリケーションに ML を組み込むこともできるようになっています。
バッチ予測: 非同期型アプリケーション向けに、他サービスでは得られない高い処理能力の推論機能を低コストで提供しています。機能拡張にも対応しているため、TB 単位の実データから推論を導き出すことができるようになっています。
GCP の活用で Evernote にこれまで高度な分析と機械学習を提供
需要の高いサービスを提供している Evernote では、プライベートクラウドから GCP に移行し、より拡張性・安全性ともに高いインフラストラクチャに 3.5 PB のデータを移動しました。Datadog によって動的環境の可視性が向上し、アプリケーションのパフォーマンス、稼働時間、スタッフの効率性を改善するのに役立っているそうです。
GCP により思考速度でアイデアを記録
Evernote が GCP を選んだ理由は、高度なデータ分析機能と機械学習機能が組み込まれているという点にありました。Evernote は Google Cloud Machine Learning Engine を使用して音声認識機能や翻訳機能をサービスに追加することで、ユーザーがアイデアをさらに素早く記録できるようにすることも考えているそうです。
Evernoteでは、機械学習などの Google テクノロジーを使用して競争力をより強化し、さらに優れたユーザーエクスペリエンスの提供を考えています。
GCP の採用で従業員をメンテナンスから解放し製品イノベーションに専念できるように
Evernote は、テキスト、ウェブページ、写真、音声メモ、さらには手書きのメモからデジタルのノートを作成することで、消費者や企業の生産性向上に役立つアプリケーションです。こうした「ノート」にはファイルも添付できるので、Evernoteのユーザーはあらゆる端末を使って簡単にアイデアを記録できるだけでなく、アイデアを育てることができるようになっています。
2 億人以上の Evernote ユーザーが数十億ものノートや添付ファイルを安全に保存できるようになっています。データの増加に伴い、Evernote はシームレスなユーザーエクスペリエンスの提供と、新しい機能やサービスの導入に取り組んでいます。
同社のプライベートクラウドは、データ増加に伴う動的インフラに対応するのに十分な拡張性が保てなくなるという課題がありました。この課題に対応するため、Evernote は GCP に移行して同社のデータセンターを閉鎖し、従業員がインフラの運用ではなくサービスの開発に専念できるようにしました。
Evernote にとって稼働時間と機能の動作は非常に重要でした。常にサービスを高速にし、ユーザーがいつでも利用できるようにする必要があります。そのため、アプリケーションスタック内のすべてのコンポーネントをモニタリングする機能が欠かせませんでした。パフォーマンスとリソース使用率を詳細に把握するために、Evernote は Google Cloud パートナーである Datadog のクラウドベースのモニタリングおよび分析プラットフォームを選びました。
GCP に移行したことでより高度な機械学習等の API 利用が可能に
Google では、すでに全世界への一般ユーザー向けにも提供したサービスによる技術力と情報量で、画像認識( Cloud Vision API )や音声認識( Cloud Speech API )、機械学習( Google Cloud Machine Learning )、文字認識( Google Cloud Natural Language API )など優れた API を多数もっています。
Evernote がプライベートクラウドから GCPに移行することによって、Evernote側が、これらのGoogle が提供する高度な APIを利用できるようになりました。
例えば、Evernote が初期に行ったテストでは、Cloud Natural Language APIによって、さまざまな言語にわたる構文的意味を提供し、必要に応じてコンテキストと意味をエンティティにマッピングすることで、MLパイプライン環境の複雑さを大幅に軽減できました。
それまでのEvernoteの環境でこのような処理を行うことためには、データレートの処理だけでなく、Natural Language Processing(NLP)システムの構文とエンティティ抽出部分の正確さを検証するのに時間がかかりました。
しかし、Cloud Natural Language API の活用により、匿名化されたデータのトレーニングデータセットが限られていても、Evernoteを改善して生産性を向上させる可能性のある興味深いユースケースを構築し連携できました。
こうした機能を活用することで、ユーザーが Evernote 上に保存したノートの中から特定の文字を抽出して ToDo リストを作成することもできるようになります。また、旅行を企画した場合に、旅行に必要な作業をEvernote上でピックアップしてユーザーに提案することもできるようになります。こうしたサービスが実現できれば、Evernote ユーザーに対してより高い利益を提供できるようになります。
Cloud Video Intelligence API 登場と Cloud ML の最新アップデート
企業において AI は重要な役割を担いつつありますが、その一方で、状況についていけず苦労を強いられている企業も増えています。 Google の重要な目標の 1 つは、そうした企業に手を差し伸べ、あらゆる規模や業種の企業、あるいは洗練された組織が、機械学習をイノベーションのツールとして活用できるようにすることとしています。
Googleでは、エアバスや Disney、Ocado などの早期導入企業が刺激的なユースケースに取り組んでいるのを見るにつけ、利用者が AI を広範なデータアナリティクス戦略の一部に組み込みつつあることを実感していました。そこで、あらゆる企業、データ サイエンティスト、デベロッパーに機械学習へのアクセスを提供する新しい製品と研究教育プログラムを Google Cloud Next '17 で発表しています。
強力な深層学習モデルを採用した Cloud Video Intelligence API を提供
Google が提供する Cloud Video Intelligence API(現時点ではプライベート ベータ)は、強力な深層学習モデルを使用しています。このモデルは、TensorFlow などのフレームワークを駆使して構築され、YouTube などの大規模なメディアプラットフォームにも適用されています。
この API は、動画を対象とした検索サービスとしては他に類を見ないものです。エンティティ(“dog” や “flower”、“human” などの名詞と、“run” や “swim”、“fly” などの動詞)の情報を基に、それらを含む動画コンテンツを検索します。
Google は世界最大手のメディア企業各社と長きにわたって協力関係を築いており、それらの企業が動画のような非構造化データから価値を見つけ出せるように手助けをしてきました。
Cloud Video Intelligence API は、大手メディア企業やコンシューマーテクノロジー企業がメディアカタログを作成したり、クラウドソースコンテンツの簡単な管理方法を見つけたりするためのものです。
Google Cloud Machine Learning により非構造化データを活用
Google Cloud Machine Learning(Cloud ML)は、画像、ビデオ インテリジェンス、音声認識、自然言語、翻訳、求人求職の各分野をカバーするサービスとして一段と拡充されるようになっています。これらの API を使用すれば、非構造化データを見聞きし、理解する次世代のアプリケーションを構築できます。機械学習のユースケースは、お勧め商品の提案から、医療イメージ分析、詐欺行為の発見、さらにその先まで大きく広がるようになります。
まとめ
今回は、GCP の導入による機械学習機能を活用している事例を紹介しました。 GCP には、優れた機械学習機能が備わっているため、 GCP を導入すれば、その効果を得ることが出来るようになります。 AI を苦手分野とする企業にとっても、 GCP の活用は、非常に有効なのです。
参考記事
- Cloud Video Intelligence API 登場と Cloud ML の最新アップデート
- Evernote が GCP をインフラストラクチャとして採用
- Datadog: 競合するクラウド サービスにはこれまでなかった可視性を Evernote に提供
- 予測分析 - Cloud Machine Learning Engine
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