クラウド移行の 5 つの手法とは?考慮すべきポリシー策定のポイントまで徹底解説!
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昨今、多くの企業がオンプレミスからクラウドへシステムやアプリケーションを移行しています。クラウド移行を実現することで企業は様々なメリットを享受できるため、実際にクラウド移行を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、クラウド移行の手法は多岐にわたるため、自社に最適な移行方法を選択することが重要なポイントになります。そこで本記事では、クラウド移行における 5 つの手法をご紹介しつつ、事前に考慮しておくべきポリシー策定についてもあわせて解説します。
目次
クラウド移行とは?
はじめに、クラウドについて簡単にご説明します。クラウドとは、「インターネット上の仮想基盤」を意味する言葉であり、PCやスマホなどの端末にデータを保存するのではなく、インターネット上に存在する仮想空間(サーバー)に保存して、運用する形態を指す言葉です。
つまり、クラウド移行とは、自社にサーバーを置いてシステムを運用するオンプレミス環境を仮想空間であるクラウド環境に移行することを意味しています。
近年、新型コロナウイルスの感染拡大や消費者ニーズの多様化、新技術の発展などにより、従来のオンプレミス運用では様々な変化に対応できない場面が増えてきました。そのため、多くの企業がクラウド環境への移行に踏み切っており、各クラウドベンダーは様々なクラウドサービスを市場に展開しています。
クラウドの詳細については、以下の記事が参考になります。
クラウド移行に関して理解を深めたい方は以下の記事が参考になります。
クラウド移行は費用対効果が重要!ROIで効果を見える化しよう!
クラウド移行の 5 つの手法
一口に「クラウド移行」と言っても、その手法は多岐にわたります。米国の調査会社であるガートナーは、アプリケーションをクラウドへ移行する際のアプローチを次の 5 つに分類しています。
- Rehost (リホスト)
- Refactoring (リファクタリング)
- Revise (リバイス)
- Rebuild (リビルド)
- Replace (リプレース)
そして、これらのアプローチはそれぞれの英単語の頭文字を取って「 5 R 」と呼ばれており、クラウド移行を行う上での代表的な手法として知られています。
また、クラウドに移行しない方式として、
- Retire (リタイア)
- Retain (リテイン)
という 2 つの手法も存在します。
Retire と Retain はクラウド移行には該当しないため、今回の記事では割愛しますが、これらを先程の 5 R とあわせて「モダナイゼーションの 7 R 」と呼ばれることがあります。
Rehost (リホスト)
リホストはオンプレミスからクラウドの VM (仮想マシン)へシステムを移行するための手法です。リホストは Lift & Shift とも呼ばれており、代表的なクラウド移行のアプローチとなっています。
その名前の通り、リホストは Lift と Shift という2つのステップに分けられており、オンプレミス環境に存在するデータをクラウド環境へ移す「 Lift 」を行った上で、それらを徐々にクラウド環境に最適化する「 Shift 」を実施します。
リホストは移行先のクラウド環境でも同じアーキテクチャを利用することができるため、移行にかかる手間を最小限に抑えることができます。例えば、移行元と移行先の環境で同じ仮想化ソフトウェアを利用しており、仮想マシンイメージを利用することができる場合等が該当します。
Lift と Shift に関心のある方は以下の記事が参考になります。
Lift & Shift とは?クラウド移行の手順を5ステップで解説!
Refactoring (リファクタリング)
リファクタリングはアプリケーションに関する外部的な仕様を変更することなく、ソースコードなどの内部構造を改善するアプローチです。統制を保ちながらコードを洗練していくため、バグが発生しにくいというメリットがあります。
さらに、リファクタリングで内部設計を見直すことで、ソフトウェアの品質向上や劣化防止に繋がります。加えて、コードを最適化することで機能性や操作性も向上するため、自社の生産性向上にも大きく寄与します。
Revise (リバイス)
リバイスはアプリケーションをクラウド環境での利用に最適化するためのアプローチです。従来、オンプレミスで使用していたシステムをリバイスすることで、クラウド環境下においてスムーズかつ効率的に使えるように改善できます。
基本的なリバイスの流れとしては、既存のアプリケーションをベースとして必要な機能を追加・改修します。その後、オートスケール機能などを取り入れることで、クラウドの強みを発揮できるように改良を加えます。
Rebuild (リビルド)
リビルドはクラウドに対応できるように開発者がアプリケーションを再構築するアプローチです。リファクタリングやリバイスのように改修を加えるのではなく、まったく新しいクラウドベースのアプリケーションを開発します。
そのため、クラウドに精通した IT 人材が必要であり、ゼロベースの構築になるため一定の開発期間が必要になります。ただし、アプリケーションのフロンドエンドのみを新しく構築し、バックエンドは従来のオンプレミスで運用するケースもあり、部分的なクラウド移行に留まることもあります。
Replace (リプレース)
リプレースは従来のオンプレミスのシステムやアプリケーションをクラウドベンダーが提供するクラウドサービスに置き換えるアプローチです。最も手間のかからないパターンは SaaS への移行であり、既にパッケージ化されているサービスにそのまま置き換えることができます。
しかし、自社の要件や実現したいことを踏まえて、それらの条件を 100 % 満たす SaaS が見つかることは稀だと言えます。そのため、クラウドサービスを自社で独自カスタマイズしたり、他のソフトウェアと連携させて使用したりするケースが一般的となっています。
SaaS に関心のある方は以下の記事が参考になります。
図解でわかる!SaaS、PaaS、IaaSの違いとクラウドサービスとの関係性について
クラウド移行におけるポリシー策定のポイント
クラウド移行を検討する際、事前のポリシー策定は必須事項だと言えます。クラウド移行に対するポリシーを明確化しておくことで、その後の移行作業がスムーズに進み、結果として自社の生産性向上やクラウド移行の効果最大化に直結します。
それでは、具体的にどのような点を意識してポリシーを策定すれば良いのでしょうか?重要なポイントをいくつかご紹介します。
コスト
クラウド移行を検討する上でコストは忘れてはならない重要なポイントです。企業の IT 予算には上限が決まっており、その範囲内で最適なクラウド移行を選択する必要があります。
自社が保有するデータ量や移行後に利用するクラウドサービスの費用などに応じて、最終的に発生するコストは変動します。そのため、事前にコストシミュレーションを行い、計画的にクラウド移行を進めるようにしてください。
運用負荷
オンプレミスと比較すれば、クラウドは自社の運用負荷を軽減することが可能です。サーバーやネットワーク機器などの IT インフラを自社で用意する必要がないため、これらの管理・運用をクラウド事業者に任せることができます。
しかし、クラウドサービスには責任分界点が存在し、自社が責任を持って管理・運用しなければいけない部分もあります。そのため、事前に利用するクラウドサービスの詳細を確認し、どの程度の負荷が自社にかかるのか?を把握しておくことが大切です。
なお、クラウドサービスの中にはすべての管理・運用をクラウド事業者に一任できるフルマネージドサービスというものが存在します。フルマネージドサービスであれば自社の負荷を最小限に抑えられるため、まずは様々なクラウドサービスを比較検討することをオススメします。
マネージドサービスとフルマネージドサービスの違いとは?メリット・デメリットまで徹底解説!
セキュリティ
クラウド移行を検討する際、セキュリティは最も重要なポイントの一つです。自社が求めるセキュリティ要件を細かく見える化し、セキュリティポリシーを具体化した上でクラウド移行を進めてください。
オンプレミスと比較してクラウドはセキュリティが不安視されることもありますが、それは一部分のみを見ているだけで実際はクラウドの方が安全な面も存在します。セキュリティレベルは利用するクラウドサービスごとに異なるので、安全性の高いサービスを選択してください。
クラウドのセキュリティに関心のある方は以下の記事が参考になります。
オンプレミスとクラウドのセキュリティを徹底比較!自社に適したサービスの選び方とは?
オンプレを選んだ理由は「なんとなくクラウドが怖いから」からの卒業、パブリッククラウドのセキュリティの真実
【クラウドセキュリティ対策比較】GCP、AWS、Azureを様々な観点から比べてみた
自社要件の洗い出し
クラウド移行を検討するのであれば、自社要件の洗い出しは必要不可欠です。仮に要件が固まっていない状態でクラウド移行を進めた場合、期待していた運用ができずにむしろ業務効率や生産性が低下するリスクがあります。
洗い出しを行う方法の一例としては、
- クラウド移行による想定効果
- クラウド移行による想定リスク
を項目ごとに並べて、既存システムをクラウド移行することに対する評価を行います。そして、これらの結果をもとに自社のクラウド移行におけるポリシー策定を進めていきます。
ポリシー策定の手順
一般的に、クラウド移行のポリシー設定は次の 3 ステップで進めていきます。
- 1.現状の見える化
- 2.クラウドサービスの適正評価
- 3.クラウド移行の計画策定
以下、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
1.現状の見える化
まずは現状の見える化を行います。クラウド移行は既存のオンプレミス環境をクラウド環境へ移行するものであり、移行前の現状を正しく把握することで初めて作業が前進します。
例えば、取り扱うデータやセキュリティ対策、インターフェースなど、あらゆる観点から既存システムの状況を可視化します。これは簡単な作業ではありませんが、見える化を丁寧に実施することで、その後の移行作業がスムーズに進むため、丁寧かつ慎重に取り組んでください。
2.クラウドサービスの適正評価
現状を見える化した後はクラウドサービスの適正評価を行います。これは移行先となるクラウドサービスや、そのサービスを提供しているクラウドベンダーに対して評価を行うものです。
ステップ 1 で見える化した現状を踏まえて、自社要件をすべて満たせるのか?といった観点から、クラウド移行を進めた場合の効果やリスクなどを可能な限り具体的に評価します。この時、複数のクラウドサービスを比較検討することで、より多くの情報を得ることができ、評価の精度を高めることができます。
3.クラウド移行の計画策定
クラウドサービスの適正評価が完了した後は、いよいよクラウド移行の計画策定のフェーズに入ります。クラウド移行に関するプランやガイドラインを策定し、プロジェクト全体を体系的にまとめておくと良いでしょう。
また、大規模なシステムの場合は環境すべてを一気に移行することは困難であるため、優先順位を付けて段階的に移行作業を実施します。事前に移行スケジュールを綿密に練っておき、計画的にクラウド移行を進めてください。
まとめ
本記事では、クラウド移行における 5 つの手法をご紹介しつつ、事前に考慮しておくべきポリシー策定についてもあわせて解説しました。
業務システムをオンプレミスからクラウドに移行することで、企業は運用負荷軽減をはじめとした様々なメリットを享受できます。また、変化の激しい現代社会においては、クラウドを活用した柔軟な経営基盤の構築が企業成長の鍵を握ると言えるでしょう。
実際に多くの企業がクラウド移行を実践していますが、クラウド移行には様々な手法があるため、それぞれの違いを理解して自社に最適なものを選択してください。その中でも注目を集めているのが Lift & Shift であり、コストを最小限に抑えて、既存環境で蓄積されたスキルやノウハウを活用することが可能になります。
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