企業の DX を進める Google Cloud (GCP)の最新ソリューションと事例を一挙解説!
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本記事は、2022年4月19日に開催された Google の公式イベント「 Google Cloud Day : Digital ’22」の基調講演「企業の DX を進める Google Cloud の最新ソリューションと事例を学ぶ」のレポート記事となります。
今回は、企業が DX (デジタルトランスフォーメーション)を実現する上での課題や競争力を維持していくために必要なものをご説明し、その課題解決のために Google Cloud (GCP)がどのように寄与するのか?というポイントについて、具体的な事例を交えながら詳しくご紹介します。
なお、本記事内で使用している画像に関しては、 Google Cloud Day : Digital ’22の「企業の DX を進める Google Cloud の最新ソリューションと事例を学ぶ」を出典元として参照しております。
それでは、早速内容を見ていきましょう。
目次
企業の DX における5つの課題と Google の取り組み
企業の DX 実現に向けた課題として、
- 1.自社のデータ利活用
- 2.市場変化への即応と競争力の維持
- 3.データ保護とセキュリティ
- 4.従業員の働き方と業務環境
- 5.環境問題への取り組み
の5つが挙げられます。それぞれについて、 Google の取り組みとともに詳しく見ていきましょう。
なお、 DX について詳しく知りたい方は以下の記事がオススメです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?概要と5つの事例をご紹介!
1.自社のデータ利活用
近年、あらゆる組織が AI への投資を増やしている一方、データドリブンな状態になっている組織は、世界で見ると全体の24%、日本国内では僅か10%未満だと言われています。組織のリーダーは組織変革を加速し、データ活用で即効性のある DX を実現することが求められています。
Google のデータクラウドは、分散データの収集や統合、分析、機械学習の活用まで、高度な即時性と汎用性でデータを統合し、組織全体で最大限のビジネス価値を生み出すことを可能にします。また、業界別の課題に対して実績のあるソリューションを提供し、即効性のある課題解決を実現します。
2.市場変化への即応と競争力の維持
市場変化への即応や競争力の維持を実現するためには、インフラとアプリケーションのモダナイゼーションが必要不可欠です。 Google が提供する Open Infrastructure Cloud は、オンプレミスとのハイブリッドや他社クラウドとのマルチクラウドとして、ネットワークエッジにも対応しています。
また、 Google 自身のインフラへの投資も拡大しており、直近のトピックスとしては、日本とカナダを結ぶ海底ケーブルが初めて開通しました。 Google の Open Infrastructure Cloud は1社にロックインされることなく、ユーザーが必要する場所で、あらゆるアプリケーションを開発・実行することができ、サーバレスや Google Kubernetes Engine (GKE)など、自由な選択肢を提供しています。
GKE に関心のある方は以下の記事がオススメです。
Google Kubernetes Engine ( GKE )の2021最新機能を一挙紹介!さらに便利で使いやすくアップデート?
3.データ保護とセキュリティ
データ保護やセキュリティの分野において、 Google は今後5年間で1兆円もの対策投資を発表しており、公的認定制度である ISMAP の登録完了やガバメントクラウドにも選定されるなど、高い信頼性を誇っています。また、リモートとのハイブリッドな作業環境でのセキュリティをゼロトラストで強化する Work Safer サービスも発表済みです。
ガバメントクラウドに関心のある方は以下の記事がオススメです。
政府が提唱するガバメントクラウドとは?生まれた背景や対応方針など重要ポイントを徹底解説!
ゼロトラストに関心のある方は以下の記事がオススメです。
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4.従業員の働き方と業務環境
近年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などもあり、社員や取引先とのコラボレーションが重要視されていますが、 Google が提供するサービスは、あらゆる場所における効率的なコラボレーションを促進します。
Google が提供するグループウェア「 Google Workspace (旧 G Suite )」や Work Safer サービスにより、オフィスにおける効率だけではなく、現場でのコラボレーションも高めて DX を推進します。また、現場力でデータ活用を強化するため、専門的なデータ分析スキルが不要なローコードやノーコードの実現もお手伝いします。
Google Workspace (旧 G Suite )に関心のある方は以下の記事が参考になります。
Google Workspace とは?基本機能や提供プラン、メリット、できることまで徹底解説!
5.環境問題への取り組み
サスティナビリティ( sustainability :持続可能性)は、すべての企業経営にとって最重要課題です。2007年よりカーボンニュートラルを達成し、2030年までにカーボンフリーを実現する Google Cloud (GCP)は、ユーザーのCO2排出量を測定・追跡・報告できる、カーボンフットプリントサービスを提供しています。
ここまで、企業の DX における5つの課題と Google の取り組みをご紹介しました。 Google はこれからも、企業のデータドリブンなイノベーションを支援し、市場での競争力強化に向けて全力でユーザーをサポートします。
Google のモダナイゼーション
企業が DX を推進するためには、インフラストラクチャとアプリケーションのモダン化が必要不可欠です。
Google が提供する Open Infrastructure Cloud は、 Google Cloud (GCP)やオンプレミス、複数クラウド、エッジなど、様々な環境において、一貫したアプリケーションの開発と実行を簡単に行えるようにすることを目指しています。
このような様々な稼働環境を自由に選択し、アプリケーションを実行するためのテクノロジーとして、コンテナが広く使われています。
大手グローバル調査会社のフォレスターリサーチ社が公開した「 Public Cloud Container Platforms 」のレポートでは、 Google Cloud (GCP)がリーダーに選定されており、コンテナをハイブリッドまたはマルチクラウドの環境で活用するための仕組みを高く評価されています。
ここからは、 Google Cloud (GCP)上で利用できる代表的なコンテナプラットフォームを2つご紹介します。
コンテナに関心のある方は以下の記事がオススメです。
コンテナ化とは?仮想化との違いやメリット、デメリット、ユースケースまで詳しく紹介!
Cloud Run
Cloud Run はサーバーレスで提供されているサービスであり、フルマネージドなコンテナの実行環境です。コンテナとは、 OS (オペレーティング・システム)上に「アプリケーション本体」「必要なライブラリ」「設定ファイル」などをひとまとめにしたものです。
本来、コンテナを扱うためには「 Kubernetes (オープンソースのコンテナーオーケストレーションツール)」を学ぶ必要があり、学習するための時間やコストが発生してしまいます。
単純にコンテナを扱うだけであれば Kubernetes がなくても問題ありませんが、オーケストレーション(設定や管理などの自動化)を行うためには Kubernetes の知識が必要不可欠です。
しかし、 Cloud Run を使えば、コンテナイメージを構築して Cloud Run の上に乗せるだけで、 Kubernetes が提供している様々な機能・強みを享受することができます。
Cloud Run は数秒でデプロイが完了するほか、 HTTPS に対応しておりカスタムドメインも利用可能です。また、言語やライブラリに依存せず、クラスタの管理が不要な点も大きなメリットだと言えます。
Cloud Run に関心のある方は以下の記事がオススメです。
2021最新機能を搭載した Cloud Run で高次元なセキュリティ対策を実現!
GKE Autopilot
GKE Autopilot とは、 Google Kubernetes Engine (GKE)の新しいモードであり、2021年2月に発表されました。なお、 GKE は Google Cloud (GCP)上で提供されている Kubernetes のマネージドサービスです。
GKE Autopilot の実装に伴い、従来の GKE は「 GKE Standard 」と名称が変更されました。基本的な仕組みは GKE Standard と同じですが、いくつか GKE Autopilot ならではの特徴が存在します。
例えば、ノードが完全マネージドで提供されている点が挙げられます。そのため、ノードを自社で運用する必要はなく、企業は Kubernetes 利用などの生産性の高い業務に集中できます。ノード管理の仕組みとしては、 Cluster autoscaler (CA)と Node auto provisioning (NAP)を使い、ノードを動的に作成、削除しています。
また、 GKE Autopilot では、 Pod 単位で 99.9% ( Monthly Uptime Percentage ) の SLO ( Service Level Objective :サービスレベル目標)が設定されています。対象となる条件は「2つ以上のゾーンに Pod が配置されていること」であり、 Pod とは別に Control Plane には 99.95% のSLO が設定されています。
GKE Autopilot に関心のある方は以下の記事がオススメです。
GKE Autopilot とは? GKE Standard との違いや料金体系、利用時の注意点まで徹底解説!
Cloud Run と GKE Autopilot は、どちらもオープンソースコードがベースとなっているため、ベンダーロックインを避けながら様々な環境で自由に利用することができます。
そして、実際に多くのお客様が Google Cloud (GCP)を活用したモダナイゼーションを実現しています。
Google のデータクラウド
DX 実現に向けた3つのパラダイムシフト
現在、すべての企業が何らかの形で DX を進めています。そして、 DX を実現するためには、3つのパラダイムシフトを中心に形成された新しい考え方を採用する必要があります。
パラダイムシフト1.データの肥大化
1Gつ目のパラダイムシフトは「小規模なデータはもはや存在しない」ということです。全ての企業がビッグデータカンパニーとなり、データは様々なフォーマットで存在し、リアルタイムのストリーム処理が行われ、複数のデータセンターやクラウドをまたぎ、非常に複雑化しています。
パラダイムシフト2.急速に変化するデータワークロード
2つ目のパラダイムシフトは「データを扱うワークロードが拡大し続ける」ということです。つまり、データを扱う方法が1つではなくなるのです。
データの活用手法は、 SQL からデータエンジニアリングフレームワーク、機械学習 / AI 、データアプリケーション構築まで多岐にわたります。このように、データを扱う方法は無制限に存在し、全てのワークロードを結びつける必要があります。
パラダイムシフト3.あらゆる人に届くデータ
3つ目のパラダイムシフトは「人々のデータアクセスも無制限である」ということです。全ての社員や顧客、パートナー、サプライヤーをデータと結びつけることで、それぞれに対して、豊富なデータの活用体験を提供することができます。
企業におけるデータクラウドの課題
前述したパラダイムシフトが起きている一方で、現在のシステムは膨張したデータへのニーズに対応できる設計になっていません。
データ活用が進むことでデータのサイロ化が進み、導入するテクノロジーが増えて様々な要素が断片化することで、コストが高まり、セキュリティやガバナンスが不明確となり、データから知見を得るための生産性が低下していきます。
ユーザーにとっては、データから価値を引き出すニーズが増えているのにも関わらず、データやワークロード、ユーザーに対する制限が増え続けているため、データから価値を引き出す企業の能力とのギャップが広がり続けています。
このギャップを埋めるために、企業は戦略的なデータクラウドを導入する必要があります。つまり、いつでもどのような需要に対しても、動的に拡張できるデータクラウドが求められているのです。
Google が提供するデータクラウドの最新情報
Google のミッションは、他にはないサービスを作り上げることです。これをオープンなパートナーエコシステムと、データの価値を解き放つリミットレスな姿勢で、イノベーションの促進に取り組み続けています。そして、これこそが Google がお客様のための無類のデータクラウドとして位置付けられている理由です。
例えば、 BigQuery だけでも1秒間に110 TB ものデータを解析しています。また、 BigQuery と Vertex AI の活用により、機械学習モデルの導入が昨年の2.5倍になりました。このことからも、 Google のデータクラウドがお客様の変革に大きく貢献できていることをご理解いただけると思います。
ここからは、限界のないデータやワークロードを支える重要な発表をご紹介します。
はじめに BigLake の登場です。 BigLake とは、2022年4月6日に Google が発表した新しいストレージエンジンです。2022年5月現在は、プレビュー版のサービスとして提供されています。 BigLake の登場により、ついにデータウェアハウスとオープンソースのデータ処理、そしてデータレイクを統合できるようになりました。
例えば、 Apache Iceberg のようなオープンソースファイルフォーマットのデータレイクを BigQuery のセキュアなガバナンスで管理し、 Spark のようなオープンソースの処理エンジンに接続します。これにより、データレイク上の複雑な仕組みを、全て BigLake という共通のマネジメントレイヤーで行うことが可能になります。
また、 Spark on Google Cloud の一般公開も忘れてはいけません。 Spark on Google Cloud は、業界初のサーバレスかつオートスケールが可能な Spark サービスです。
さらに、ビジネスアナリストのために Data Portal と Looker 、コネクテッドシートの統合も発表されました。これにより、データのビジネス上の意味にガバナンスを効かせ、信頼できるビジネスデータを実現できます。
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楽天の Google Cloud (GCP)活用事例
ここからは楽天における Google Cloud (GCP)の活用事例をご紹介します。
楽天は EC や Fintech 、モバイル事業を主要とするデジタルネイティブかつグローバルなコングロマリットです。2021年の楽天のグローバル流通総額は26.9兆円と非常に大きな規模となっています。
楽天はデータドリブンな企業として25年の実績があり、すべてのサービスをデータ中心に構築しています。自社のデータセンターで Hadoop を使い、膨大なデータの保存と大規模なデータ処理を行なっています。また、近年の楽天における戦略として、アーキテクチャの軸をコンテナおよびマイクロサービスの活用に移しています。
楽天のデータプラットフォームの実現には、
- 柔軟性
- 拡張性
- 弾力性
という3つのチャレンジがありました。これらは成長するビジネスニーズに応えるための重要な課題です。
楽天はデータマネジメントエコシステムにおける最重要なポイントから取り掛かりました。70以上のサービスにおいて楽天内で 1,000 名以上が分析に活用する共通のデータウェアハウスであり、楽天では「 SuperDB 」と呼ばれています。
これは一般的には Teradata と呼ばれていますが、楽天の内部ユーザーからはシステムが遅い点が指摘されており、リソースの慎重な調整が必要でした。さらにハードウェアの寿命が迫っていたこともあり、楽天は代替サービスを探していました。
その結果、楽天は Google Cloud (GCP)の BigQuery に辿り着きました。綿密な概念実証により技術やビジネス要件を容易に満たすだけではなく「 Google は信頼できるパートナーとして一緒に歩んでいける」と確信したそうです。
こうして、移行プロジェクトは計画・実行のステップに進むことになりました。大きな労力のかかる作業でしたが、 Google Cloud (GCP)チームのサポートや SQL 変換、データ移行の自動化ツールなどの活用により、プロジェクトは予定通りに進みました。
また、プロジェクトの進行と同時に、大規模なデータクレンジングや正規化を行う良い機会にもなりました。これにより、新システムのデータが旧システムと同等かそれ以上の精度であることを確認できました。
移行プロジェクトにおいて技術的な不安はほとんどなく、最大の課題と教訓はユーザーを取り込むためのチェンジマネジメントだったそうです。シャドー IT による分析が頻繁に行われており、これによるユーザー特有のプラットフォームの活用方法を認識するための適切なコミュニケーションが不足していたことが最大の課題でした。
しかし、現在の楽天はこれまで以上に高い関心を集めてプラットフォームの活用を広げています。さらに Google Cloud (GCP)の活用支援を早急に求めるチームや部署も着実に増えています。
特にデータサイエンティストは非常に高い関心を示しています。データサイエンティストの仕事柄、大量のコンピュートリソースのバーストを必要としており、ハードウェアの管理や長い調達サイクルのような手間は省きたいと考えています。
サーバレスなデータウェアハウスはデータサイエンティストにとって大きな魅力であり、楽天が AI / ML を活用した変革を加速するための鍵になると言えます。自社データセンターとオンプレミスでのハードウェアインフラストラクチャを保有・運用することは、今後も楽天の技術的な DNA の中核であり続けます。
しかし、クラウドの活用方法の理解を深めるにつれて、ハイブリッドアプローチの展開にも価値を見出すようになりました。
パブリッククラウドとオンプレミスのリソースを組み合わせるハイブリッドなアーキテクチャと組織で柔軟性や拡張性、弾力性を実現します。
ハイブリッドアーキテクチャの利点としてクラウドバーストの実践が挙げられます。例えば、スーパーセール期間中のキャパシティ管理で高レベルのサービスや可用性を実現できます。
また、オープンソースソフトウェアによる解放性と相互運用性も重要なポイントです。そのため、楽天は Spark Serverless や Vertex AI などの Google Cloud (GCP)サービスに高い関心を持っており、これからも Google のサービスを活用したビジネス展開に取り組んでいきます。
まとめ
本記事では、企業が DX (デジタルトランスフォーメーション)を実現する上での課題や競争力を維持していくために必要なものをご説明し、その課題解決のために Google Cloud (GCP)がどのように寄与するのか?というポイントについて、具体的な事例を交えながら詳しくご紹介しました。
企業が DX を実現するためには様々な課題が存在しますが、 Google では企業が抱える課題を解決するための数多くの取り組みを実践しています。さらに DX 実現の重要なポイントであるモダナイゼーションに関しても Cloud Run や GKE Autopilot などのサービスが大きく貢献します。
現在、楽天をはじめとした多くの企業が Google Cloud (GCP)を活用し、自社の業務効率化や生産性向上などを実現しています。もちろん日本国内だけに留まらず、 Google Cloud (GCP)はグローバル規模で圧倒的な利用者数を誇ります。
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