ハイブリッドクラウドとは?メリット・デメリット、構築時の重要なポイントまで徹底解説!
- Cloud
- ネットワーク構成
- ハイブリッドクラウド
- マルチクラウド
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大などをはじめとして、社会環境が大きく変化しています。このような変化に迅速かつ柔軟に対応するためには、クラウドの有効活用がとても重要であり、クラウドの中でもハイブリッドクラウドに大きな注目が集まっています。
本記事では、ハイブリッドクラウドとは何か?という基礎的な内容から、ハイブリッドクラウドのメリットやデメリット、構築時の重要なポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介します。
目次
ハイブリッドクラウドとは?
ハイブリッドクラウドとは、
- プライベートクラウド(自社が占有型で構築・運用するクラウド形態)
- パブリッククラウド(複数社が共有型で利用するクラウド形態)
- オンプレミス型のインフラ
- クラウドサービス
など、異なるサービスを組み合わせて活用するクラウドの運用形態を指します。複数タイプのクラウド環境および各サービスを併用し、それらの要素を相互接続して使うため、単独のクラウド環境と比較すると、即応性に長けています。
また、ハイブリッドクラウドは、様々なプラットフォームで構成されたサービスを組み合わせているため、相互補完性の高いクラウド環境と言えます。これまで単独のクラウドサービスでは補えなかった要素を、利用用途や領域、運用コストに応じて使い分けることが可能なため、より柔軟かつ自由度の高いクラウド環境であると言えるでしょう。
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドとの違い
ハイブリッドクラウドと混同しやすい言葉として「マルチクラウド」が挙げられます。マルチクラウドとは、複数の異なる事業者のクラウドサービスを組み合わせて、各社の良い箇所を活用し、より最適な運用環境を構築する方法を指します。
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いは、複数のベンダーから提供されるクラウド環境を、ビジネス要件や目的に応じて「混合」させているか、「併用」させているかで明確な違いがあります。
ハイブリッドクラウドは、主にプライベートクラウドとパブリッククラウドを混合させ、それぞれを相互接続する形でシステムを構築するため、コストを抑えながらデータ管理の安全性やリスク分散を確保することができます。
一方、マルチクラウドは、複数のベンダーから同一タイプを併用利用するため、業務プロセスやフェーズによって同時利用したり、大規模な障害が発生した際でも早急なリカバリーが行えるため、ビジネスに支障をきたすことなく最適な環境で運用することが可能です。
このように、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドは異なるものとして区別されています。それぞれの特徴や違いを正しく理解しておきましょう。
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ハイブリッドクラウドのメリット
ハイブリッドクラウドを導入することで、企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。
導入・運用負担を軽減できる
近年のビジネスシーンにおいて、外部からの膨大なアクセスやデータ量の増大に柔軟に対応するためには、継続的な設備投資が不可欠です。しかし、常に余裕のあるクラウド環境を確保するためには、クラウド環境の構築にかかるコストや、運用に必要な専門知識を持つ人材を確保するなど、各リソースを整備することが求められます。
その点、ハイブリッドクラウドであれば、導入や運用におけるコストを軽減しながら、ビジネス要件に応じて柔軟にクラウド環境を利用することが可能です。
負荷分散ができる
複数のタイプのクラウド環境を混合させるハイブリッドクラウドでは、ビジネスの業務領域や情報の性質に応じてマシンスペックを増減できるため、クラウドの負荷分散ができます。これにより、重い処理などが必要になる場合でも、安心してシステムを運用できます。
比較的低価格で高度なセキュリティ体制を構築できる
ハイブリッドクラウドを活用するメリットの一つに、比較的低価格で、高度なセキュリティ体制が構築できる点が挙げられます。従来のクラウド環境の場合、障害発生時の自律的な対応が不可能だったり、全ての情報を厳重に管理するとなると、運用コストが高くついていました。
しかし、重要度の高い情報はプライベートクラウドに、優先度の低い情報はパブリッククラウドに区別することで、高度なセキュリティ体制を確保しつつ、コストを抑えることが可能です。
また、自社のデータを複数の場所で分散保管すれば、あらゆるリスクに対して備えることができます。リスクの代表的な例としては、サイバー攻撃やウイルス感染、自然災害などが挙げられます。ハイブリッドクラウドの導入により、不測の事態が起きてしまった場合でも、焦らず迅速に BCP ( Business Continuity Plan :事業継続計画)対策を講じることが可能になります。
BCP に関心のある方は以下の記事がオススメです。
オンプレよりも安全?クラウドがBCP対策に選ばれる理由とは
ハイブリッドクラウドのデメリット
ハイブリッドクラウドには、メリットだけではなくデメリットも存在します。導入後に慌てないよう、事前に内容を理解しておきましょう。
システムの設計・構築が複雑になる
ハイブリッドクラウドはシステムの性質上、複数の異なるタイプのクラウド環境を混合して、それらを相互に補完する形で利用することになります。そのため、プライベートクラウドやパブリッククラウドの理解度はもちろん、システムを構築する上での構成や統合における知識や技術が不可欠です。
運用が難しい
ハイブリッドクラウドを最適に運用していくためには、継続的に運用していくためのプロセスも重要なポイントです。
ハイブリッドクラウドは、システム構成が複雑なため、求められる管理項目や必要となる知識も多様化することから運用が難しくなりがちです。また、全体のコストにフォーカスするあまり、どちらか一方の比重に頼りすぎると、結果的にコストが抑えられていないというケースもあるため、ハイブリッドクラウドの性質を理解した人材を配置することを意識しましょう。
ハイブリッドクラウド構築時の重要なポイント
ハイブリッドクラウドを構築する際、検討すべきポイントは多岐にわたります。代表的かつ重要なものをいくつかご紹介します。
ネットワーク構成
ネットワーク構成はハイブリッドクラウドにおいて最も重要なポイントであると言えます。自社のセキュリティ要件や処理するデータ量など、様々な要素を踏まえて最適なネットワーク構成を検討します。この点については後ほど詳しくご説明します。
サーバーの監視・運用
ハイブリッドクラウドを安全に運用するためには、ネットワークだけではなく、サーバーの監視・運用も重要なポイントです。複数環境を並行して利用するハイブリッドクラウドでは、サーバーの監視・運用が煩雑化しやすいため、できるだけ効率化できるように工夫することが大切です。
ユーザーの管理・認証
ハイブリッドクラウドにおいて、ユーザーの管理・認証は必ず検討すべき大切な要素になります。これらはハイブリッドクラウドの安全性に直結する部分であるため、多角的かつ慎重に検討を進めてください。
データ連携
ハイブリッドクラウドは複数の環境を並行して使うため、それぞれの環境でデータ連携を行う場面が出てきます。このとき、スムーズに作業を進められるように、事前にデータ連携の方法を決めておきましょう。これにより、安全かつ効率的にハイブリッドクラウドを運用できます。
ハイブリッドクラウドに利用されるネットワークの種類
クラウド環境と接続するためのネットワークとして、代表的なものは次の3つです。
- インターネット
- VPN( Virtual Private Network )
- 閉域網(専用線)
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
インターネット
インターネットとは、普段私たちが利用している接続形態です。 Web システムとの接続は証明書などを利用した TLS 接続があり、比較的安全性は高まっています。ただ、基本的に他の利用者と回線を共有しているベストエフォート品質であり、ビジネス利用には不適と言えます。
VPN
誰もが利用できるインターネット空間に仮想的なプライベートネットワークを構築するのがインターネット VPN です。クラウド上に用意されたルーターと自社に設置したルーターとの間で VPN を構築して接続するのが一般的です。
閉域網(専用線)
クラウド事業者や通信事業者が用意した、直接インターネットから接続できないように構築されたネットワークが閉域網です。物理的(専用線)、もしくは論理的に接続し、他の干渉を受けないことで通信速度やセキュリティを確保します。
VPN や専用線に関心のある方は以下の記事がオススメです。
専用線と VPN の違いとは?違いを理解して会社のセキュリティを強化しよう!
ハイブリッドクラウドの用途から考えるネットワーク構成
自社でハイブリッドクラウドを構築する際の要件に照らし合わせて、接続方法をご紹介します。
業務システムのクラウド利用の場合
大規模な業務システムのクラウド利用をする場合は「閉域網」がオススメです。
業務システムはセキュリティと通信品質が重要になります。利便性を得るためにクラウド上の Web で利用することはあっても、データベースなどはオンプレに持ちたい場合このようなケースになります。クラウドとオンプレミス間の通信を閉域網にすることで、要件にあったネットワークにすることができます。
クラウドでのバックアップ利用の場合
クラウドでの大きいデータのバックアップ利用の場合は「閉域網」がオススメです。
バックアップデータの容量はシステムによって数百 GB ~数 TB にも及びます。 BCP 対策で遠隔地や別クラウドへのバックアップを行う場合は品質が最重要になりますが、こちらも閉域網で実現できます。
クラウドの検証利用の場合
クラウドの検証利用の場合は「 VPN 」がオススメです。
検証環境としてクラウドを利用するのであれば、さほど通信の品質にこだわる必要はありません。クラウドの利用はインターネット上からも可能ですが、業務システムをテストする場合、社内ユーザーやネットワークからの接続のみに絞るべきなので、 VPN を構築することで要件に合ったネットワークを構築できます。
ハイブリッドクラウドのネットワーク構成についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事がおすすめです。
ハイブリッドクラウドにした際のネットワーク構成と注意すべきポイントとは?
ハイブリッドクラウド構築には Google Cloud (GCP)がオススメ
ハイブリッドクラウドを利用する上ではネットワーク構成が重要だと前述しました。ネットワークを構築するためのサービスは多岐にわたりますが、せっかくハイブリッドクラウドを導入するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。
以下、 Google Cloud (GCP)の概要とハイブリッドクラウドの構築にオススメな理由をご説明します。
Google Cloud (GCP)とは?
Google Cloud (GCP) は Google が提供するパブリッククラウドサービスです。同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 提供の「 Azure 」や Amazon 提供の「 AWS 」などが挙げられます。
Google Cloud (GCP) は、セキュアで高い安定性を持つ Google の IT プラットフォーム環境を自社で利用することができます。ビッグデータや Google Workspace との連携など、『クラウド利用を越えた先の IT 戦略』をシームレスに実現することが可能です。
また、「 BigQuery 」をはじめとした優れたデータ解析ツールが用意されているため、一部のエキスパートだけでなく、組織全体でデータを活用し、経営戦略の策定や業務改善に繋げていくことが可能です。さらに Google Cloud(GCP) の多種多様なサービスを活用することで、高精度なデータ分析を実現することができます。
ハイブリッドクラウド構築にオススメな理由
Google Cloud (GCP)には、様々なネットワーク関連サービスが搭載されています。例えば、 Cloud Armor というセキュリティの統合ソリューションやロードバランサーなど、自社の要件に合わせてネットワークを構成するためのサービスを自由に利用できます。
また、 Google Cloud (GCP)では Cloud Interconnect という専用線接続サービスが提供されており、これがハイブリッドクラウド構築において高い効果を発揮します。次項で詳しくご説明します。
Cloud Armor や Google Cloud (GCP)のネットワークセキュリティに関心のある方は以下の記事がオススメです。
Cloud Interconnect とは?
Cloud Interconnect は VPC や Google Cloud (GCP)の API に対してプライベートな接続を提供する専用線接続サービスです。 VPC とは「 Virtual Private Cloud 」の略であり、 Google Cloud (GCP)が提供している仮想ネットワークです。
Cloud Interconnect には、
- Dedicated Interconnect
- Partner Interconnect
の2種類の接続方式があります。以下、順番に見ていきましょう。
Dedicated Interconnect
Dedicated Interconnect は Google Cloud (GCP)の接続点にユーザー側のルーターから直接接続する方式です。
Google Cloud (GCP)の接続拠点となるコロケーション施設には「 Google ピアリングエッジ」と呼ばれているルーターが配置されています。そして、同じコロケーション施設にユーザー側のルーターを設置し、 Google ピアリングエッジとの間を物理的な回線で接続します。
また、 VPC との接続の際には 「VLAN アタッチメント」と呼ばれる論理的な回線を VPC 内部ネットワーク上の「 Cloud Router 」との間に作成し通信を行います。そのため、1本の物理回線を経由して複数の VPC へ接続することが可能です。
Partner Interconnect
Partner Interconnect は、サービスプロバイダ経由で Google Cloud (GCP)に接続する方式です。なお、 Google ピアリングエッジと物理的に接続するのはサービスプロバイダのルーターです。そのため、ユーザー側のルーターを直接コロケーションスペースに設置する必要はなく、オンプレミスのデータセンターが接続拠点と離れていても利用できます。
さらに Dedicated Interconnect や Partner Interconnect について詳しく知りたい方は以下の記事がオススメです。
【トップゲート 主催】Google Cloud ハイブリッドクラウドセミナー体験レポート
Google Cloud (GCP)のその他メリット
ユーザーインターフェースが使いやすい
Google Cloud (GCP)の大きな特徴として、使いやすいユーザーインタフェースが挙げられます。あらゆる操作がボタンクリックやドラッグ&ドロップなどで完結するため、専門知識を持たない人でも簡単に使うことができます。
データ処理速度が速い
Google Cloud (GCP) は月間60億時間分の動画を再生する YouTube や、10億人のユーザーが利用している Gmail と同じインフラをベースとしています。そのため、高速で安定したパフォーマンスを誇り、大量のデータに対してもスムーズなリアルタイム処理を実現します。
柔軟にスケーリングできる
Google Cloud (GCP)は 100% クラウドで提供されているサービスであるため、状況に合わせて柔軟にスケーリングできます。将来的にデータ量が増加した場合でも簡単にリソースを追加できるため、安心してハイブリッドクラウドを運用できます。
また、 Google Cloud (GCP) は自動スケーリングに対応しており、自社の状況に応じてリソースを自動的に増減してくれます。そのため、管理者が都度設定を変更したり、煩雑なリソース調整を行う必要はありません。面倒な作業は Google Cloud (GCP) が自動で行ってくれるため、自社は本来注力すべき作業に集中することができ、結果的に業務効率化や生産性向上に直結します。
セキュリティレベルが高い
Google Cloud (GCP) は第三者認証取得のハイレベルなセキュリティを備えており、
- SSAE16 / ISAE 3402 Type II:SOC 2/SOC 3
- ISO 27001・FISMA Moderate
- PCI DSS v3.0
など、さまざまな年次監査を受けています。そのため、安全なセキュリティ環境でハイブリッドクラウドを構築でき、情報漏洩などの各種リスクを低減した形で、安心して作業を進めることが可能になります。
まとめ
本記事では、ハイブリッドクラウドとは何か?という基礎的な内容から、ハイブリッドクラウドのメリットやデメリット、利用する上で重要なポイントなど、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。
変化の激しい現代において、ハイブリッドクラウドはとても有効な選択肢です。導入・運用負担の軽減や高度なセキュリティなど、ハイブリッドクラウドを導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。
ハイブリッドクラウドを構築する上でのポイントは多岐にわたりますが、その中でもネットワーク構成は最も大切な要素だと言えるでしょう。自社のセキュリティ要件や処理するデータ量など、様々な要素を踏まえて最適なネットワーク構成を検討してください。
ネットワークを構築するためのサービスは多岐にわたりますが、せっかくハイブリッドクラウドを導入するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。様々なネットワーク関連サービスが搭載されており、自社に最適なネットワークを手間なく構築できます。
さらに、使いやすいユーザーインターフェースや高速データ処理、高いセキュリティレベルなど、企業にとって嬉しいポイントが多数存在します。ハイブリッドクラウド構築には、まさに最適なソリューションだと言えるでしょう。
本記事を参考にして、ぜひ Google Cloud (GCP)を検討してみてはいかがでしょうか。
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