インスタンスとは何か?プログラミングとインフラストラクチャの領域別にわかりやすく解説!
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インスタンスという言葉をご存知でしょうか? IT 業界では頻繁に使われている単語であり、主にプログラミングやインフラストラクチャの領域で登場します。しかし、インスタンスという言葉は聞いたことがあっても、正しく意味を理解している方は少ないのではないでしょうか?
そこで本記事では、インスタンスとは何か?という基礎的な内容に加えて、プログラミングやインフラストラクチャの領域において、インスタンスがどのような意味を持つのか、分野ごとに整理しながらわかりやすく解説します。
目次
インスタンスとは?
インスタンスは英単語の instance を語源としており、「実例」や「事実」などを意味する言葉です。 IT 用語としてのインスタンスは、実体のある具体的なモノを指すことが多く、実在しているが故に動かすことができ、消滅させることもできます。
インスタンスを理解するためには「オブジェクト指向」と「クラス」について知る必要があります。オブジェクト指向はプログラミング手法の一つであり、クラスはデータ構造を作るための仕組みです。オブジェクト指向では、クラスを用いてプログラムを構築します。
そして、オブジェクト指向において、クラスで構築された実体をインスタンスと呼びます。完成物をオブジェクトと呼ぶこともありますが、オブジェクトはクラスやインスタンスを抽象的に表現した言葉であるため、インスタンスとオブジェクトはほぼ同義だと捉えるとわかりやすいでしょう。
インスタンス化とは?
IT 分野では「インスタンス化」という表現が使われることがあります。インスタンス化とは、実体のない設計図から具体的なモノを作り出す作業のことを意味します。
この時、設計図がクラスであり、出来上がる完成物がインスタンスだとイメージしてください。クラスはデータ構造を作るための仕組みであるため、それ自体は実体を持ちません。あくまで実体を作るための設計図であり、このクラスを使って具体的なモノを構築するわけです。
例えば、住宅の建設をイメージしてください。住宅を建てるためには、膨大な量の設計図が必要になります。家の間取りや玄関の位置、窓の数、使う材料など、様々なポイントを細かく設計する必要があります。
しかし、設計段階では「ただの紙」であり、建設地に具体的なモノが存在するわけではありません。あらかじめ作成した設計図をもとに材料を集め、それらを実際に組み立てて建築作業を行うことで、初めて「住宅」という実体が完成します。
つまり、インスタンス化を住宅建設で例えるなら、事前に用意する設計図がクラスであり、最終的に完成する住宅がインスタンスになります。このように、インスタンス化は実体のない設計図から、実体のあるモノを作り出す作業だとご理解ください。
プログラミング領域におけるインスタンス
ここからは、プログラミング領域におけるインスタンスについて、もう少し深掘りしてご説明します。
前述した通り、インスタンスとは「実体のあるモノ」です。もう少し IT 用語的に説明するのであれば、「クラスをもとにしてメモリ上に実体化された完成物」であると言えます。
先程は住宅建設を例に挙げましたが、もう一つ別の例で考えてみましょう。今度はたこ焼きを作るシーンをイメージしてください。
たこ焼きを作るためには、生地を流し込むための焼き型が必要になります。この時、焼き型がクラスであり、完成するたこ焼きがインスタンスになります。たこ焼きの焼き型は、1度用意すれば何度でも繰り返し使うことができます。そのため、焼き型が完成物(たこ焼き)の形を決めていると言えます。
そして、たこ焼きの焼き型を使うことで、同じ形のたこ焼きが次々に完成し、その一つ一つがたこ焼きのインスタンスになります。ただし、ここで重要なのは、完成した数多くのたこ焼きはそれぞれが異なる「モノ」である、という点です。
同じ焼き型を使っていれば、見た目はどれも同じたこ焼きに見えます。しかし、実際には生地に入れる材料を変えれば、たこ焼きの中身を変えることができます。例えば、タコを抜いたり、タコの代わりにベーコンを入れたり、様々なバリエーションが考えられます。
つまり、同じクラスを使っていても、完成したインスタンスにはそれぞれ個性があり、すべてを明確に区別できるのです。さらに、インスタンスごとに固有のデータを持たせるなど、インスタンス単位で個別に管理することも可能です。
なお、先程も少し触れましたが、オブジェクトについても簡単にご説明します。インスタンスとオブジェクトは混同されがちですが、オブジェクトはインスタンスよりも広義な言葉であり、概念的なものだとご理解ください。
クラスで構築したモノがインスタンスであり、このインスタンスはオブジェクトの一種です。プログラミングの分野においては、テーブルやコードなど、インスタンス以外にも様々なモノが登場しますが、これらをまとめてオブジェクトと呼びます。
例えば、 Java における true は、クラスのインスタンスではなく、値そのものです。また、クラス自体も static メソッドを持つ具体的なモノであると言えます。しかし、これをインスタンスとは呼ばないため、オブジェクトと定義しているのです。
インフラストラクチャ領域におけるインスタンス
ここまではプログラミング領域におけるインスタンスについて解説しましたが、インスタンスという言葉はインフラストラクチャの領域でも使われています。
インフラストラクチャ領域では、様々なモノをインスタンスと呼びますが、代表例としては仮想マシンや仮想サーバーなどが挙げられます。ここで重要なのは、インスタンスとは「実際に稼働している何か」を指す言葉である、という点です。
仮にサーバーを例に挙げる場合、
- サーバーが電源オンでネットワークに繋がっている
- サーバー上でオペレーティングシステムが動いている
- OS における HTTP サーバーのプログラムが動いている(外部からの HTTP 接続要求に応答できる)
- サーバーがミドルウェアによるクラスタ環境下で稼働している
のような状態のことを「稼働している」と表現します。つまり、インスタンスとは、これらのすべて(または一部)に該当するような「稼働している何か」を意味しているのです。
なお、サーバーはあくまで一例であり、領域ごとにインスタンスという言葉が指すモノは変わります。このように、インフラストラクチャにおけるインスタンスとは、とても抽象的な言葉であるとご理解ください。
以下、代表的なインスタンスを表でまとめます。
領域 | インスタンスの例 |
---|---|
仮想環境 | ・仮想マシン ・仮想サーバー |
サーバーやミドルウェア製品 | ・データベース ・ジョブ制御 ・クラスタミドルウェア |
その他 | ・特定のサービス |
従来、マシンやサーバーをインスタンスと呼ぶことはありませんでしたが、昨今におけるクラウドサービスの爆発的な普及により、仮想環境でのサーバー提供が身近なものになりました。これにより、仮想マシンや仮想サーバーはインスタンスと呼ばれるようになり、現在は代表的なインスタンスとして定着しています。
また、サーバーやミドルウェア製品では、 OS 上で動いているプログラムやサービスをインスタンスと呼ぶこともあります。例えば、データベースやジョブ制御、クラスタミドルウェアなどが挙げられます。しかし、あくまでプログラムがメモリ上に読み込まれて実行中のものを指しており、 OS にインストールされているだけの状態では、インスタンスとは呼ばないのが一般的です。
さらに、特定のサービスをインスタンスと呼ぶこともあります。例えば、マストドンという分散型の SNS サービスでは、インスタンス単位でユーザーがサービスを利用します。この時、インスタンスを構成するのは、インターネット上の複数のコンピュータとなっています。
このように、インフラストラクチャ領域におけるインスタンスは、とても抽象的な言葉となっています。使われる文脈や領域ごとに意味が異なるため、あらゆる要素を加味した上で「インスタンスが何を意味しているのか」を考えることが大切です。
ただし、どのシーンで使われていたとしても、「稼働している何か」をインスタンスと呼ぶことは共通しているので、この点は押さえておきたいポイントになります。
仮想マシンを使うなら Google Cloud (GCP)がオススメ
先程、仮想マシンをインスタンスと呼ぶことがあるとご説明しました。昨今、企業が使うシステムやサービスはクラウド型が主流となっているため、仮想マシンはとても重要な意味を持ちます。自社に合った仮想マシンを使えば生産性が向上しますが、合わないものを選んでしまった場合は作業効率が低下します。
ただし、市場には様々な仮想マシンが存在し、それぞれのマシンごとに特徴や性能は異なります。そのため、自社に合わせて最適な仮想マシンを選択することが、自社のビジネスを成長させるための鍵を握っていると言えます。可能な限り、使いやすく高品質な仮想マシンを選んでください。
そして、仮想マシンを利用するのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。 Google Cloud (GCP)とは、 Google が提供しているパブリッククラウドであり、世界中で多くの企業が利用しているサービスです。
以下、 Google Cloud (GCP)の概要と、仮想マシン利用にオススメな理由をご説明します。
Google Cloud (GCP)とは?
Google Cloud (GCP) は Google が提供するパブリッククラウドサービスです。同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 提供の「 Azure 」や Amazon 提供の「 AWS 」などが挙げられます。
Google Cloud (GCP) は、セキュアで高い安定性を持つ Google の IT プラットフォーム環境を自社で利用することができます。ビッグデータや Google Workspace との連携など、『クラウド利用を越えた先の IT 戦略』をシームレスに実現することが可能です。
また、 BigQuery をはじめとした優れたデータ解析ツールが用意されているため、一部のエキスパートだけでなく、組織全体でデータを活用し、経営戦略の策定や業務改善に繋げていくことが可能です。
さらに、 Google Compute Engine(以下 GCE と記載)を活用することで、高品質な仮想マシンを手間なく効率的に立ち上げることができます。 GCE については、次章以降で詳しくご説明します。
Google Compute Engine (GCE)とは?
GCE とは、 Google Cloud (GCP)に内包されている機能の一つであり、 Google のインフラ上に仮想マシンを立ち上げることができるサービスです。業界トップクラスのコンピューティング性能を誇り、自社の目的に合わせて最適な仮想マシンを構築することが可能です。
他の Google Cloud (GCP)サービスとの統合はもちろんのこと、柔軟なスケーリング(状況に応じてリソースを増減すること)やコスト削減など、様々な観点から企業の生産性向上を実現することができます。
なお、 GCE で仮想マシンを作る際はインスタンスのタイプを選択する必要があります。インスタンスのタイプは「マシンタイプファミリー」と呼ばれるカテゴリに分けられており、カテゴリごとに様々な特徴を持っています。
GCE を利用する場合は、はじめにマシンタイプファミリーのカテゴリを選んだ上でインスタンスタイプを選択し、デプロイを行います。インスタンスタイプには、事前定義されたインスタンスタイプから選ぶパターンと、カスタマイズ可能なカスタムマシンを作るパターンの2つに分類されます。
Google Compute Engine (GCE)がオススメな理由
正しいビジネス判断をサポート
GCE には VM のインスタンスサイズに関するレコメンデーションが搭載されています。例えば、自社の利用実績に対して VM のサイズが大きすぎる場合は、コスト観点で損をしてしまいますが、 GCE は利用状況に応じて、自動的に推奨サイズをレコメンド(提案)してくれるため、常に最適な VM サイズで運用を行うことが可能になります。
また、 GCE は柔軟性に優れたサービスであるため、自社の要件に合わせてハイブリッドクラウドやマルチクラウドなどの構成を簡単に作ることができます。つまり、多くの運用パターンを想定することができ、実情に即した正しいビジネス判断を行うことが可能です。
企業にとって必要な機能をすべて提供
GCE に内包されているマシンタイプファミリーには、数多くの種類が存在します。各タイプごとに様々な特徴や強みがあるため、自社の状況に応じて最適なものを必ず見つけることができます。企業が必要とする機能・リソースを漏れなく提供している点は、 GCE の大きなメリットの一つであると言えます。
継続的なイノベーションを実現
GCE はディープラーニングに必要な AI の機能や組み込み型のデータ分析など、様々な機能を搭載しています。また、 CPU だけでなく GPU や マシンラーニングに特化した TPU も利用できます。このように、企業が GCE の多様なサービスラインナップを活用することで、継続的なイノベーションを強く推進することが可能になります。
高いパフォーマンスと安全なセキュリティ
GCE は月間60億時間分の動画を再生する YouTube や、10億人のユーザーが利用している Gmail と同じインフラをベースとしているため、高速で安定したパフォーマンスを誇ります。
さらに、第三者認証取得のハイレベルなセキュリティを備えており、「 SSAE16 / ISAE 3402 Type II:SOC 2/SOC 3」「 ISO 27001・FISMA Moderate 」「 PCI DSS v3.0」など、さまざまな年次監査を受けています。
このように、 Google Cloud (GCP)に搭載されている GCE を活用することで、高品質な仮想マシンを効率よく利用することができます。これから仮想マシンの導入を検討する場合は、 Google Cloud (GCP)を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?
まとめ
本記事では、インスタンスとは何か?という基礎的な内容に加えて、プログラミングやインフラストラクチャの領域において、インスタンスがどのような意味を持つのか、分野ごとに整理しながら解説しました。
インスタンスは IT 分野において重要なキーワードですが、使われるシーンによって言葉の意味は変化するため、あくまで抽象的なものであることをご理解ください。主にプログラミング領域とインフラストラクチャ領域で使われることが多いため、この記事を読み返してポイントを押さえておきましょう。
クラウドが主流となっている昨今、仮想マシンをインスタンスと呼ぶケースも多いですが、効率的な仮想マシンを構築することは容易ではありません。数ある仮想マシンから自社に最適なものを選択し、必要に応じて構築を行う必要があります。
そこで、仮想マシンを導入するなら Google Cloud (GCP)がオススメです。 Google Cloud (GCP)に内包されている GCE を使えば、豊富な機能や安全なセキュリティなど、利用企業は様々なメリットを享受できます。
本記事を参考にして、 Google Cloud (GCP)の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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