ストリームデータ処理とは?リアルタイムデータの活用でデータドリブン経営を実現!
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ストリームデータとは何かをご存知でしょうか?昨今、重要性が叫ばれているビッグデータもストリームデータの一種であり、時間の経過にあわせて増え続けるデータを意味する言葉です。このストリームデータをうまく活用することで、企業は様々なメリットを享受できます。
そして、ストリームデータを活用するための手法として、ストリームデータ処理が挙げられます。本記事では、ストリームデータの概要に加えて、ストリームデータ処理の概要やメリット、活用事例、実践する上で大切なポイントまで、あらゆる観点から一挙にご紹介します。
目次
ストリームデータとは?
ストリームは「小川、流れ、連続」などの意味を持つ単語であり、ストリームデータとは時間の経過に合わせて増え続けるデータを意味しています。ストリームデータの大きな特徴として、時間の経過とともにデータの中身が変化する点が挙げられます。昨今、ビジネスシーンで注目を集めているビッグデータもストリームデータの一種です。
わかりやすい例で言うと、 Twitter に代表される SNS データがストリームデータに該当します。世界中の多くの人々が SNS に投稿しており、そのデータは際限なく増え続けます。また、時代やトレンドに合わせて、投稿内容は継続的に変化します。
このように、ストリームデータは日常の至るところで活用されています。データ量が増加し、データの種類も多様化している現代においては、ストリームデータの有効活用が企業成長の鍵を握っていると言えるでしょう。
ストリームデータ処理とは?
ストリームデータ処理とは、その名前の通り、ストリームデータを処理する技術を意味する言葉です。ストリームデータのように、膨大かつ中身が変化するデータを処理する場合、本来であれば非常に大きな工数が発生します。しかし、ストリームデータ処理を活用することで、この課題を解決できるのです。
ストリームデータは時間の経過とともに変化し、かつ、膨張し続けるため、データ処理に時間がかかるようではデータの価値が薄れてしまいます。そのため、一般的なストリームデータ処理は、ストリームデータをリアルタイムに処理する、という特徴を持っています。
代表的なストリームデータ処理として、自動車に搭載されている交通ナビが挙げられます。道路の混雑状況や目的地までの所要時間は、状況に応じて刻一刻と変化するものですが、ストリーム処理でデータをリアルタイムに処理することで、正確な情報を表示することが可能となっています。
このように、膨大かつ変化し続けるデータを扱う上では、ストリームデータ処理がとても有効な武器になります。企業がストリームデータ処理を活用することで、複雑なストリームデータや膨大なビッグデータから必要な情報を瞬時に抽出し、迅速な意思決定を実現できます。
バッチ処理とストリームデータ処理の違い
ストリームデータ処理と似た言葉としてバッチ処理が挙げられます。バッチ処理とは、データを「バッチ」という単位にまとめて一括処理する手法のことです。バッチ処理も膨大なビッグデータ処理に適していますが、両者には明確な違いがあります。
バッチ処理は事前に必要なデータをすべて準備しておく必要があり、処理結果をリアルタイムに確認することはできません。また、バッチをまたぐような処理は不可能であり、複数のバッチを組み合わせてデータを分析したい場合は、バッチの数だけ処理を実行する必要があります。
一方、ストリームデータ処理は、リアルタイムに処理結果を表示することができます。さらに、バッチのようにデータを単位ごとに分割しないため、様々な角度からデータを包括的に活用できます。そのため、一般的にはバッチ処理よりもストリームデータ処理の方が実用性が高く、あらゆるシーンにおいて活躍するデータ処理の手法となっています。
ストリームデータ処理のメリット
ストリームデータ処理を活用することで、企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか?代表的なものをいくつかご紹介します。
ビッグデータを効率的に処理できる
ビッグデータとは、「 Volume (データの量)」「 Variety (データの種類)」「 Velocity (データの発生頻度・更新頻度)」の3つの要素で構成されており、膨大かつ多様性に富み、頻繁に発生・更新されるデータを意味する言葉です。
本来、ビッグデータを管理・分析するには大きな手間と時間が掛かりますが、ストリームデータ処理を活用することで、効率的に処理することができます。企業情報のビッグデータ化が進み、データ活用の重要性が高まっている現代において、この点はストリームデータ処理の大きなメリットであると言えます。
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必要な情報をリアルタイムに取得できる
データは時間の経過とともに鮮度が落ち、価値が薄れてしまうものです。しかし、ストリームデータ処理を活用すれば、必要な情報をリアルタイムに取得することができます。
前述した SNS の投稿データや交通情報データなど、リアルタイム性を強く要求されるデータは数多く存在します。昨今、 AI や IoT に代表される新しい情報技術の登場により、リアルタイムデータの重要性は高まっているため、その意味でもストリームデータ処理は、貴重なデータ処理手法の一つであると言えるでしょう。
データドリブンな経営を実現できる
近年、消費者ニーズは高度化かつ多様化しており、企業が変化の激しい時代を生き残るためには、データに基づいた正しい意思決定が求められます。もはや、ベテラン社員の「勘」や「経験」に頼る時代は終わり、客観的な指標で方向性を決める必要があるのです。
ストリームデータ処理は、膨大かつ多様なビッグデータをリアルタイムに処理し、その結果を迅速に返します。そのため、処理結果をもとに課題の改善や運用の見直しを図ることで、データドリブンな経営を実現することが可能になります。
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ストリームデータ処理の活用事例
ここまで、ストリームデータ処理の基本的な内容をご説明しましたが、具体的にどのような用途で活用されているのでしょうか?代表的な活用事例をいくつかご紹介します。
EC サイト
訪問しているユーザーの各種データを取得し、リアルタイムの商品価格、プロモーション効果、在庫数などをストリームデータ処理で分析することで、サイト設計の最適化に役立てることができます。
投資サービス
日々変化する市場データをリアルタイムに追跡することで、株価が一定値に到達したときに自動で売却するなどのルール設定を行うことができ、効率的なサービス運用が可能になります。
メディア
複数メディアにおけるユーザーの行動履歴(クリックレコードなど)をストリームデータ処理で分析することで、各ユーザーに最適な関連記事をレコメンドするなど、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現することができます。
公共事業
送電網全体のスループット(単位時間あたりのデータ処理量)をリアルタイムに監視・検知することで、設定した閾値を上回った場合のアラート通知やワークフロー開始を実現できます。
ストリームデータ処理を実践する上で大切なポイント
自社でストリームデータ処理を実践する場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?大切なポイントをいくつかご紹介します。
目的を明確化する
ストリームデータ処理に限った話ではなく、データ活用全般における話ですが、データは処理することが目的ではなく、その結果を意思決定や経営判断に活用してこそ、真の価値を発揮します。そのため、ストリームデータ処理そのものを目的とするのではなく、処理したデータをどのように活用するのか、という目線を常に持っておきましょう。ゴールが定まっていれば、そこから逆算して効率的な処理フローを検討することができます。
処理対象のデータを決める
目的の明確化とあわせて、どのようなデータを処理するのか、という観点も重要です。処理対象のデータによって効率的な処理フローは変わるため、最初にこの点を考慮しておくことで、ストリームデータ処理の全体プロセスを最適化でき、自社の生産性を大きく向上させることが可能になります。
IT ツールを導入する
ストリームデータ処理で扱うようなビッグデータは、すべての処理を自社完結するのが難しいケースも存在します。膨大なデータを処理するには多くの時間が掛かりますし、リアルタイム分析を実現するためには大きな工数が発生します。
そのため、ストリームデータ処理を行う場合は IT ツールの導入がオススメです。 IT ツールを導入することで、自社のストリームデータ処理を効率化できるため、大幅な生産性向上に繋がります。
当然ながら IT ツールの導入はコストが掛かりますが、この点をネガティブに捉えるのではなく、 IT ツール導入によって得られるメリットと天秤にかけて、費用対効果で考えることが大切になります。
ストリームデータ処理にオススメのサービスをご紹介!
ストリームデータ処理を行う上では、 IT ツールの導入が効果的だと前述しました。最後に、ストリームデータ処理にオススメのサービスをご紹介します。
BigQuery
BigQuery とは、 Google Cloud (GCP)で提供されているビッグデータ解析サービスのことです。通常では長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対し数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。
BigQuery は 100% クラウドで提供されているため、サーバーレスでスケーラビリティがあり、コストパフォーマンスに優れています。また、他の多彩な Google Cloud (GCP)サービスともシームレスに連携できるため、高速かつ効率的なストリーム分析を実現することができます。
Pub / Sub
Pub / Sub はリアルタイムデータやイベントデータの取り込みを行うためのメッセージングサービスです。 Pub / Sub はサーバーレスのサービスであるため、ユーザーはサーバー構成を気にすることなく、すぐに利用することができます。
Pub / Sub の仕組みは「 Gmail 」「 Google 検索」「 Google 広告」などの各種 Google サービスで採用されており、日々大量のデータを処理していることから、とても信頼性の高いツールであることが伺えます。
Pub / Sub に関心のある方は以下の記事が参考になります。
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変更データキャプチャ( CDC : Change Data Capture )
変更データキャプチャ( CDC : Change Data Capture )は「 MySQL 」「 Postgres 」「 Oracle Database 」などのデータベースの変更データを読み取って BigQuery にリアルタイムで連携することができる、データ変換のフェーズで使われる機能です。
この CDC ソリューションを大きく分類すると、「 MySQL ・ Postgres 用のオープンソースのセルフマネージドテンプレート」と「 Oracle Database 用のフルマネージドテンプレート」の2つに分けられます。
MySQL ・ Postgres 用のオープンソースのセルフマネージドテンプレートは Debezium ベースのコネクタと Dataflow テンプレートを使用して実現しています。テーブルレコードを Pub / Sub で変更し、 Dataflow 経由で BigQuery に連携する仕組みとなっており、スキーマの変更は Data Catalog 経由で同期します。
Oracle Database 用のフルマネージドテンプレートは Datastream でデータベース変更をキャプチャし、 Dataflow 経由で BigQuery に連携します。
Dataflow SQL
Dataflow SQL は、データアナリストやデータエンジニアが使い慣れた SQL を利用して、ストリーミング分析用のパイプラインを構築できるサービスです。
本来、Dataflow は Python や Java を使ってコーディングする必要がありますが、Dataflow SQL を活用することで、容易に Pub / Sub のイベントデータと BigQuery 、 GCS 上のデータを掛け合わせて変換することができます。
さらに、変換結果は BigQuery のテーブルに出力することが可能なため、そのまま BI ツールを利用してリアルタイムに分析ができます。
Dataflow SQL を活用すれば、データアナリスト自身がストリーミングパイプラインを開発・分析できるようになるため、ストリーム分析における生産性向上・業務効率化に直結します。
Dataflow に関心のある方は以下の記事が参考になります。
Google の ETL サービス「 Dataflow 」とは?概要、特徴、できること、料金体系まで徹底解説!
今回ご紹介した Google Cloud (GCP)の各種サービスを活用したストリームデータ処理(ストリーム分析)に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
Google Cloud(GCP)のストリーム分析がすごい!「 Pub / Sub 」や「 BigQuery 」など具体的なサービスを一挙紹介
まとめ
本記事では、ストリームデータの概要に加えて、ストリームデータ処理の概要やメリット、活用事例、実践する上で大切なポイントまで、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。
ストリームデータ処理を活用することで、企業はリアルタイムな情報取得やデータドリブン経営の実現など、様々なメリットを享受できます。ビッグデータ活用の必要性が叫ばれている現代において、ストリームデータ処理は益々重要な存在になっていると言えるでしょう。
ストリームデータ処理を実践する上でのポイントは多岐にわたりますが、その中でも IT ツールの導入はとても重要です。 IT ツールの導入により、複雑かつ重い処理を効率化でき、自社の生産性を大幅に向上させることができます。
市場には様々な IT ツールが存在しますが、せっかく導入するなら Google Cloud (GCP)がオススメです。 BigQuery や Pub / Sub など、ストリームデータ処理に役立つソリューションが数多く搭載されています。
本記事を参考にして、ぜひ Google Cloud (GCP)を活用したストリームデータ処理を検討してみてはいかがでしょうか?
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