ソフトウェア開発を効率化するモジュール化とは?メリットや活用事例まで徹底解説!
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あなたは「モジュール」という言葉の意味を正しく説明できますでしょうか?モジュールは、主にソフトウェア開発の現場で利用される言葉であり、漠然としたイメージはできていても、正確に意味を説明できる方は少ないのではないでしょうか?
そこで本記事では、モジュールとは何か?という基礎的な内容に加えて、モジュールから派生した用語である「モジュール化」について、概要やメリット、活用事例など、あらゆる観点から一挙に解説します。
目次
モジュールとは?
概要
モジュールは「部品」を意味する言葉であり、 IT 分野だけではなく様々なシーンで使われています。例えば、建設業界において寸法を表す言葉として使われていたり、歯車の大きさを表す単位としても利用されています。
IT 分野におけるモジュールは、主にソフトウェア開発の現場で使われることが多く、特定の機能を表す言葉となっています。ソフトウェア開発では、機能ごとに開発作業を分けて行うことがありますが、これは機能単位で担当者や開発プロセスを独立させることで、作業効率を高める狙いがあります。
ソフトウェアを検索や登録、削除などの機能別に分けて開発を進めることで、機能単体でのテストが可能になったり、機能の追加・削除などをスムーズに実行したりすることが可能になります。このように、ソフトウェア開発を機能単位で分けることで、開発における全体プロセスを効率化できるのです。
そして、この単独でも動作する機能のことをモジュールと呼んでいます。モジュールは独立した機能であるため、単体でも動作することは可能ですが、他の機能と組み合わせて使用することもできます。最終的に複数のモジュールを繋ぎ合わせることで、一つのソフトウェアが完成します。
コンポーネントとの違い
モジュールと似た言葉として「コンポーネント」が挙げられます。コンポーネントもモジュールと同様に「部品」を意味する言葉ですが、両者には明確な違いがあります。
モジュールは、モジュール単体でも動作させることが可能なため、モジュール単位でテストを行うなど、独立した作業を行うことができます。一方、コンポーネントは単体で使用するものではなく、あくまで他のプログラムから呼び出して使用するため、コンポーネント単体で使われることはありません。
ライブラリとの違い
「ライブラリ」もモジュールと近い意味を持った言葉ですが、コンポーネントと同様にモジュールとは明確に異なるものとして定義されています。
ライブラリは、特定の機能を持ったプログラムを、他のプログラムから呼び出せるように部品化したものです。ライブラリを単体で実行することはできず、あくまで他のプログラムの一部として動作します。モジュールは内部の部品を意味しており、ライブラリは外部提供の部品(プログラム)だとイメージすると理解しやすいでしょう。
モジュール化とは?
ここまではモジュールの意味について解説しましたが、 IT 分野では「モジュール化」という言葉が頻繁に使われています。それでは、モジュール化とは一体どのような内容なのでしょうか?
モジュール化は、部品を意味するモジュールから派生した言葉であり、互換性のある部品(モジュール)を使うことで、複数システム間における機能維持を実現するための手法です。つまり、モジュール化によって、システムの全体構造を大きく変えずに、モジュール交換だけでシステム機能を維持することができるのです。
例えば、ソフトウェアを開発する際にすべてを一から作り直すのではなく、既存で存在するコードを見直すなどして、共通して利用できる処理はそのまま活用し、それを一つの部品(モジュール)として独立させます。これにより、不要な開発に手間を掛ける必要がなくなり、作業効率を高めることができます。
モジュール化はソフトウェア開発だけで使われているものではなく、パソコンをはじめとした「ものづくり」の現場でも活用されています。昨今、パソコンを構成する部品もモジュール化されており、仮に別のメーカーが開発したパソコンの部品であっても、自社のパソコンに合わせて利用できます。
さらに、現在はあらゆる業界にモジュール化が広まっています。金融業界やエネルギー業界などでもモジュール化が活用されており、企業が効率的な経営を実現する上で、モジュール化は重要な鍵を握っていると言えるでしょう。
モジュール化のメリット
モジュール化を活用することで、企業は様々なメリットを享受できます。どのようなメリットがあるのか、代表的なものを順番に見ていきましょう。
開発プロセスを効率化できる
モジュール化の大きなメリットの一つが開発プロセスの効率化です。本来、システム開発ではコーディングを使って様々な処理を実行しますが、モジュールを活用することで、コーディングなしで同じ内容の処理を簡単に実現できます。
また、モジュール化は開発の効率化だけではなく、試用品をテストするための時間も削減できるため、開発プロセス全体における生産性向上に大きく寄与します。
システム品質を担保できる
モジュール化を利用することで各機能の再利用率が上がるため、安定したシステム品質を担保することができます。既に完成しているモジュールをシステムに組み込むことで、ヒューマンエラーによるコピペミスやコーディングミスなどを回避できるのです。
また、モジュールを使えば、一から新しい機能を開発する必要はなくなり、開発リードタイムの短縮にも繋がります。変化の激しい現代において、開発からリリースまでのプロセスを迅速化できることは、そのまま自社の競合優位性に直結すると言えるでしょう。
システムの保守工数を削減できる
モジュール化は保守工数の削減にも役立ちます。仮に特定の処理においてエラーやバグが発見された場合、本来はコーディング全体を見直して、複雑な計算ロジックを一から再構築する必要があります。
しかし、エラー箇所がモジュール化されていれば、モジュールの中身を変更するだけで改修が完了します。つまり、モジュール化しておくことで、エラーやバグの調査・改修を容易に行うことができ、システム保守にかかる工数を大幅に削減可能になります。
モジュール化のデメリット
モジュール化には、メリットだけではなくデメリットも存在します。あらかじめ内容を理解し、モジュール化を使う際は注意してください。
システムの独自性が失われる
モジュール化は、既に完成している機能を部品(モジュール)として利用することで、開発効率を高められるというメリットがあります。しかし、逆に言えば、既存の部品(モジュール)を使うということは、今までにない新しい機能を実装することはできないのです。
そのため、モジュール化を活用してシステムを構築した場合、完成したシステムは独自性が失われてしまう可能性があります。このように、モジュール化のメリットは、捉え方によってはデメリットにもなり得る、という点を理解しておきましょう。
システム構築が複雑化する場合がある
シンプルなシステム開発においては、モジュール化はとても便利な技術ですが、仮に大規模かつ複雑なシステムでモジュール化を活用する場合、むしろシステム構築が複雑化するリスクがあります。システム全体が大きい分、モジュールとシステムとの間で小さな齟齬が生じることがあり、その微修正に手間やコストがかかってしまうのです。
また、モジュールが多様化すればするほど、その組み合わせも増えてシステム構築はより複雑化します。このように、すべてのシステム開発にモジュール化が有効だと思わず、構築するシステムの規模や目的、内容に応じて、適切に活用することが大切です。
モジュール化の活用事例
ここまで、モジュールやモジュール化の基礎的な内容についてご説明しました。それでは、モジュール化は実際にどのように使われているのでしょうか?
本章では、企業におけるモジュール化の活用事例を3つご紹介します。
自動車用ラジエータのモジュール化
自動車関連製品を扱うデンソーでは、1970年代に自動車用ラジエータのモジュール化を行いました。ラジエータに機能改善を施した上で、世界中の自動車メーカーのニーズを調査し、冷却性能や搭載スペースなどを規格化したのです。さらに、冷却チューブとフィンのバリエーションを増やすことで、コア部分は308種類という十分な多様性を実現しました。
また、ラジエータだけではなく、アッパータンクや配管類などもモジュール化し、コアに合わせる形で数種類に標準化を行っています。これにより、従来は計7本の製造ラインが必要になっていたところ、製造サイクルが異なる数百種類のラジエータを、1つの工場内で一気通貫で自動生産することに成功しました。
天井クレーンのモジュラーデザイン
法人向けの産業機械などを展開する日立プラントメカニクスは、天井クレーンのモジュラーデザインを生み出しました。従来、クレーンの巻き上げ装置部分は数十種類ものレイアウトが存在していましたが、これを必要最小限の数種類に削減しました。レイアウトが異なる場合、それぞれについて専用の部品が必要になるため、生産効率が低下してしまうのです。
また、製品を構成するすべての部品をモジュール化し、部品の種類を従来の10分の1にまで減らしました。さらに、単に種類を削減するだけではなく、製造工場が作りやすい部品を検討することで、変動費の原価を20%削減することに成功しています。
現在、同社では SMS というデータベースを利用して、効率的な生産を実現しています。 SMS に仕様を入力することで、自動的に機器の選定や製品仕様値の決定がなされ、その仕様値をもとに見積仕様書や手配図などの書類をシステムから自動出力できるのです。
まさに、モジュール化によって現場の生産性向上を実現した、わかりやすい事例であると言えるでしょう。
POS システムのモジュール化
最後に、システムをモジュール化した事例をご紹介します。店舗で利用されている POS システムは、モジュール化が活用されているシステムの一つです。
POS とは Point Of Sales の略であり、日本語では「販売時点情報管理」と呼ばれています。主に、物品販売における売上実績を商品単位で記録・集計する用途で使われるものです。 POS システムは、数多くの店舗で使用されているシステムであり、各店舗ごとに若干の機能差分はあるものの、商品情報の入力や決済処理など、共通的に使われている機能(部品)はモジュール化されています。
そのため、複数の POS システムを比較すると、一見別のシステムのように見えますが、共通している部分にはモジュールが使用されており、システム開発の裏側では、前述したシステム開発の効率化や品質の担保などが図られているのです。
まとめ
本記事では、モジュールとは何か?という基礎的な内容に加えて、モジュールから派生した用語である「モジュール化」について、概要やメリット、活用事例など、あらゆる観点から一挙に解説しました。
企業がモジュール化を活用することで、開発プロセスの効率化やシステム品質の担保、保守工数の削減など、様々なメリットを享受できます。また、システム開発からリリースまでのリードタイムを短縮できるため、変化の激しい現代においては、モジュール化の重要性は高まっていると言えるでしょう。
ただし、モジュール化はすべてのケースにおいて万能ではありません。システムの独自性が失われる可能性や、大規模システムの場合は逆に開発効率が低下するリスクもあります。そのため、モジュール化のメリット・デメリットを正しく理解し、開発するシステムの規模感や内容によって、適切に活用することが大切です。
現在、モジュール化は会社の規模や業種を問わずに様々な企業で活用されています。うまく使えば、大幅な業務効率化や生産性向上を実現できるため、本記事を参考にして、ぜひモジュール化の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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