アドホック分析とは何か?意識すべき分析ポイントや活用事例まで徹底解説!
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アドホック分析という言葉をご存知でしょうか?データ分析手法の一つであり、主にビッグデータ分析や市場調査などを目的として利用されることが多くなっています。
アドホック分析を活用することで、企業は様々なデータを取得でき、今後の戦略立案や意思決定に役立てることができます。ただし、アドホック分析という言葉は知っていても、正しく意味を理解している方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、アドホック分析とは何か?という基礎的な内容に加えて、アドホック分析のメリット・デメリットや分析ポイント、具体的な活用事例まで一挙にご紹介します。
目次
アドホック分析とは?
アドホック分析とは、ビッグデータ分析や市場調査などに利用される分析手法です。アドホックはラテン語の「 ad hoc 」を語源としており、「限定された目的のための」という意味になります。
通常のデータ分析は、分析に用いるデータの項目や内容が決まっており、一定の周期で定期的に実施されることが多いです。しかし、アドホック分析は必要に応じて都度行われるという特徴を持っており、調査や集計、分析などのデータ分析の一連のプロセスについて、すべての工程が1回で完結します。
このように、アドホック分析は時間をかけて総合的な分析結果を導くのではなく、短いスパンで単発的に行われるものです。そのため、事業やデータに対して、すぐに評価を行いたい場合は、アドホック分析が有効な分析手法になります。
昨今、消費者ニーズの変化や働き方の多様化など、社会情勢が目まぐるしく移り変わっています。このような状況下において、スピーディーに分析を実行し、自社のビジネスを適切かつ迅速に評価できるアドホック分析は、企業が生産性向上を実現する上で強い武器になると言えるでしょう。
アドホック分析のメリット・デメリット
アドホック分析にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?それぞれ、代表的なものを理解しておきましょう。
メリット
アドホック分析の大きなメリットとして、データ分析をスピーディーに進められる点が挙げられます。アドホック分析では、データ分析における一連のプロセスを一度に実行するため、長い準備期間を必要とせずに分析を行うことができるのです。
そのため、アドホック分析の活用により、データに基づいたリアルタイムな意思決定を実現可能になります。また、アドホック分析に対応している BI ツールを使えば、分析結果をわかりやすく可視化できるため、意思決定のスピードはさらに上がり、レポート作成にかかる時間も削減できます。
デメリット
アドホック分析はスピーディーな分析ができる反面、長いスパンで定期的に行うようなデータ分析には不向きだと言えます。例えば、毎回同じ項目のデータを使い、定点観測的に数値をアップデートしながら行う分析が該当します。
このような場合は、アドホック分析は不適なため、その他の分析手法を使うことをオススメします。一口に「データ分析」と言っても、その種類は多岐にわたるため、必要に応じて使い分けることが大切になります。
アドホック分析を行う上での分析ポイント
アドホック分析はとても便利な分析手法の一つですが、実際に使う上では意識すべき重要なポイントが存在します。どのような点に気を付ければ良いのか、順番に見ていきましょう。
データ分析の目的を明確化する
データ分析を行う上では目的の明確化が重要になりますが、アドホック分析もその例外ではありません。データ分析の手法は多岐にわたり、目的や用途に応じて最適な手法は変わります。
場合によっては、アドホック分析が適していないケースも存在するため、まずは自社がデータ分析を行う目的を明確化し、ゴールから逆算して考えることが重要になります。
多角的にデータ分析を実行する
アドホック分析のメリットとして、データ分析をスピーディーに実行できる点を前述しました。これは言い換えれば、あらゆる観点から、様々な要素を加味したデータ分析を短いスパンで行える、ということです。
データ分析に 100% の正解は存在せず、数多くの仮説を立て、多角的に分析を行いながらアクションを進めていきます。そのため、アドホック分析を行う場合は、1回の分析で満足するのではなく、複数パターンの分析を実行して、多くの分析結果を得ることが大切です。これにより、分析結果の精度は向上し、企業として適切な意思決定を行うことが可能になります。
分析結果をわかりやすく可視化する
データ分析は「分析して終わり」では意味がなく、分析結果を今後のアクションに反映してこそ、真の価値を発揮します。そのため、アドホック分析の結果をわかりやすく可視化するところまでをセットで考えておくと良いでしょう。
分析結果を表やグラフなどでビジュアライズすることで、専門知識がなくてもデータの傾向や取るべきアクションが明確になります。自社だけですべてを完結するのは大きな工数がかかるため、リソースが不足している場合には BI ツールの導入も有効な選択肢になります。
BI ツールに関心のある方は以下の記事が参考になります。
BI ツールとは何か?メリット、デメリット、活用事例まで、一挙に紹介!
データ分析ツールを導入する
アドホック分析は多角的な視点で複数の分析パターンを試行するため、すべてを自社で完結するのは難しい場合があります。データ量が膨大かつ種類が多岐にわたるビッグデータを扱う場合、この傾向はさらに強まります。
そのため、効率的にアドホック分析を進めるには、データ分析ツールの導入がオススメです。正確かつスピーディーにデータ分析を実行でき、自社の業務効率化や生産性向上を実現できます。後ほど、オススメのデータ分析ツールをご紹介します。
アドホック分析の活用事例
ここまで、アドホック分析の基本的な内容をご説明しました。それでは、アドホック分析は具体的にどのように活用されているのでしょうか。本章では、アドホック分析の活用事例をご紹介します。
DVD ・ CD のレンタルや中古ゲームソフト・書籍販売などを中心に店舗展開しているゲオ。現在はグループ全体で、全国に1,800店舗を超える店舗ネットワークを構築しています。
同社のビジネス拡大を支えているのが緻密なマーケティング戦略です。ゲオでは、毎月約1億レコードにものぼる膨大な伝票明細を3年間にわたって保持し、これらのデータをアドホック分析することで、マーケティングの迅速な意思決定に活かしています。
例えば、レンタルコミックの再利用を促すクーポン配布の適正化もそのひとつです。従来、クーポンの配布対象者は特定期間における「利用あり / 利用なし」といった単純な条件で絞り込みを行なっていました。しかし、アドホック分析でデータを多角的に分析し、 AB テストを実施した結果、クーポンを発行しなくても来店していたはずの顧客に対して、クーポンを配布していたことが判明したのです。
そこで、顧客の属性や利用動向をもとに来店確率を割り出す回帰モデルを作成し、確率の低い顧客だけをクーポンの配布対象とすることで、マーケティング予算を最適化し、収益に結びつかない過剰なクーポン発行を 75% も抑止することに成功しました。
結果として、金額ベースでは週あたり350万円程度のコスト削減を実現しており、これを原資とすることで、今までアプローチできていなかった新規顧客に対して、新しい施策を打つことが可能になりました。最近では、メルマガやスマホアプリを通じた、アイテムや会員ごとのレコメンドも強化しています。
このように、アドホック分析は企業におけるマーケティング戦略立案に役立つ分析手法となっています。また、データ分析のプロセスを一度で完結するため、ゲオのように膨大なビッグデータを分析する際にも効果を発揮します。変化の激しい現代においては、とても重要なデータ分析手法の一つであると言えるでしょう。
データ分析にオススメのサービスをご紹介!
データ分析を行う上では、データ分析ツールが有効であると前述しました。特にアドホック分析では、膨大かつ多様なビッグデータを取り扱うケースも存在するため、データ分析ツールを導入することで効率的に作業を進められます。
市場には様々なデータ分析ツールが存在しますが、ツールごとに特徴や強みは異なるため、どのツールを選ぶのか?はとても重要なポイントです。もし、自社に合わないツールを選んでしまった場合、思うような効果は得られず、データ分析・活用は失敗に終わるでしょう。
ツールの選び方は多くの観点がありますが、以下のポイントを意識しておけば失敗することはありません。
- 多くの機能が搭載されているツールを選ぶ
- データの処理速度が速いツールを選ぶ
- 専門知識がなくても扱える使いやすいツールを選ぶ
- コストパフォーマンスが高いツールを選ぶ
複数のツールを導入するとコストが跳ね上がるため、数多くの機能をオールインワンて提供しているツールが理想的です。また、ビッグデータのように膨大なデータを扱う場合には、当然ながらデータの処理速度も重要なポイントになります。
加えて、ツールの扱いやすさも大切です。使いにくいツールであれば、せっかく導入しても効果は薄くなります。そして、最小限のコストで最大の効果を得るためには、コストパフォーマンスも意識すべき判断指標だと言えます。
これらの点を踏まえて考えると、データ分析には BigQuery がオススメのツールだと言えます。 BigQuery とは Google Cloud (GCP)に搭載されているデータ解析ツールであり、 Google Cloud (GCP)とは、 Google が提供しているパブリッククラウドサービスです。
以下、 Google Cloud (GCP)および BigQuery の概要と、データ分析に BigQuery がオススメな理由をご説明します。
Google Cloud (GCP)とは?
Google Cloud (GCP)は Google が提供しているパブリッククラウドサービスです。同じ種別のサービスとしては、 Microsoft 提供の Azure や Amazon 提供の AWS などが挙げられます。
Google Cloud (GCP)は「 Gmail 」 や「 YouTube 」などの有名サービスで実際に動いているプラットフォーム技術をそのまま使用できるため、非常に高いインフラ性能を誇ります。
「コンピューティング」「機械学習( AI )」「ビッグデータ解析」など、 Google Cloud (GCP)には様々な機能が搭載されており、企業の生産性向上や業務効率化を実現するための強い味方になります。
この Google Cloud (GCP)に搭載されている BigQuery を活用することで、データ分析を効率的に進めることができます。 BigQuery については、次項で詳しくご説明します。
BigQuery とは?
BigQuery とは、 Google Cloud (GCP)で提供されているビッグデータ解析サービスであり、一般的にはデータウェアハウス(DWH)というカテゴリに分類されます。
データウェアハウス(DWH)とは、業務に関する情報をまとめて保管しておくためのデータベースです。様々なシステムからデータを保存し、それを分析するために整理する、データの保管庫のようなイメージです。
以前まで、データ管理は容易なことではなく、目的のデータを探すだけでも大変な労力が必要でした。さらに、古いデータは削除するなどのメンテナンスも発生しており、データ管理にとても多くの時間を費やしていたため、経営判断へのデータ活用は、ハードルが高いものとして避けられてきました。
しかし、データウェアハウス(DWH)の登場によって、大容量データから該当情報を抽出したり、重複を避けてデータを保存したりできるようになったため、従来の課題を解決することができるようになりました。企業が保有するデータ量が増加し、ビックデータ活用が求められる昨今のビジネスにおいて、データウェアハウス(DWH)は不可欠なツールと言えるでしょう。
BigQuery では、通常では長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対し数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。100% クラウドで提供されているため、サーバーレスでスケーラビリティがあり、非常にコストパフォーマンスに優れています。他の多彩な Google Cloud (GCP)の提供するサービスともシームレスに連携もでき、扱いやすいサービスの一つとなっています。
多くの機能を兼ね備えている
BigQuery はデータを保管する DWH としての役割はもちろんのこと、他にも様々な機能を搭載しています。
BigQuery は ETL の領域も一部カバーしており、分析に必要なデータ加工を行うことができます。例えば、膨大な元データに対する検索のクエリ結果を BigQuery のテーブルとして出力することが可能です。
さらに Hadoop や Cloud Dataflow といったデータ処理エンジンと連携できるため、複雑なデータ加工やリアルタイムなデータストリーミング分析などを実現することができ、今後に向けた効果的な経営戦略の策定に寄与します。
このように BigQuery はデータ活用に必要なすべての領域をカバーしており、企業におけるデータの分析作業を一気通貫で行うことが可能になります。
DWH や ETL に関心のある方は以下の記事がオススメです。
データの活用で生産性向上!「BIツール」と「DWH」や「ETL」との違いとは?
データの処理速度が早い
BigQuery の強みとして、データ処理が高速な点が挙げられます。
通常の分析サービスであれば、GB(ギガバイト)程度であれば問題なく分析できますが、TB(テラバイト)規模になるとデータがなかなか返ってこないことが多いです。BigQuery は、さらにその上の PB (ペタバイト)規模のデータも高速で分析して、解を返すことができます。
約3 GB (ギガバイト)のデータ処理の要した時間は1.2秒という驚異のスピードです。(2020年5月段階)
【参考記事】
【トップゲート主催】StudyJam Google Cloud (GCP) 無料ハンズオンラボの体験レポート
データベースの専門知識がなくても扱える
通常、データウェアハウスのデータベースは特にクエリ用途などがある場合には必ずチューニングが必要です。テーブルや各種領域、インデックスなどに対し、最適な計算・シミュレーションなど必要です。当然データベースのスペシャリストが必要で、スペシャリストがいるか否かなども、チューニングパフォーマンスに影響します。
ところが、BigQuery はそれを必要としません。従来のデータベース概念とは異なり、今までデータベースでのクエリでは必須だったインデックスすら必要としません。つまりデータベースの専門知識がなくても高速クエリが可能となっています。
コストパフォーマンスが高い
BigQuery はコストパフォーマンスが圧倒的に優れています。
利用料金の目安も 1TB (テラバイト)500円程度とものすごくリーズナブルであるため、愛用者が多いです。データ量が分析開始前にわかり、事前に処理に要する目安料金がわかり安心してサービス利用可能です。
いくら高速なサービスがあっても扱いにくくてコストが高いものであれば、なかなか拡まらないと考えられます。しかし、BigQuery は扱いやすくかつコストも安いため、総合的に見て優れたサービスであると言えます。
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まとめ
本記事では、アドホック分析とは何か?という基礎的な内容に加えて、アドホック分析のメリット・デメリットや分析ポイント、具体的な活用事例まで一挙にご紹介しました。
変化の激しい現代において、アドホック分析はとても有効な分析手法であると言えます。スピーディーに分析を行うことができるため、迅速な意思決定を実現でき、それが競合優位性に直結します。実際にアドホック分析を採用している企業は多く、マーケティング戦略の策定などに活用されています。
そして、データ分析を手間なく進めるためには、データ分析ツールの導入が効果的です。ツールを導入することで、データ分析における一連のプロセスを効率化でき、自社の生産性向上に大きく貢献します。
市場には様々なデータ分析ツールが存在しますが、効率的にデータ活用を進めたいのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。 Google Cloud (GCP)に内包されている BigQuery を使うことで、多彩な機能や高速データ処理など、企業は様々なメリットを享受することができます。
本記事を参考にして、 Google Cloud (GCP)の導入および BigQuery の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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