ビッグデータ活用が企業成長の鍵!データ分析の手法や具体的な手順を徹底解説!
- BigQuery
- Google Cloud (GCP)
- データ分析
- ビッグデータ
昨今、企業が保有するデータのビッグデータ化が加速しています。取り扱うデータ量は年々増加し、その種類も多様化しています。企業が効率的な経営を実現するためには、このビッグデータを分析・活用し、適切な経営戦略を打ち出していく必要があります。
しかし、ビッグデータの分析をどのように進めれば良いのか、具体的に理解している方は少ないのではないでしょうか?そこで本記事では、ビッグデータの基礎的な内容に加えて、ビッグデータ分析の手法や手順など、あらゆる観点から一挙にご紹介します。
目次
ビッグデータとは?
「ビッグデータ」という単語を聞くと、大容量データをイメージしませんか?IT用語辞典では、ビッグデータは下記のように定義されています。
ビッグデータとは、従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群。明確な定義があるわけではなく、企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語として多用されている。
多くの場合、ビッグデータとは単に量が多いだけでなく、様々な種類・形式が含まれる非構造化データ・非定型的データであり、さらに、日々膨大に生成・記録される時系列性・リアルタイム性のあるようなものを指すことが多い。
今までは管理しきれないため見過ごされてきたそのようなデータ群を記録・保管して即座に解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、これまでにないような新たな仕組みやシステムを産み出す可能性が高まるとされている。
※引用: IT 用語辞典(ビッグデータ)
また、ビッグデータは以下の「3つのV」から構成されると定義されており、それぞれが重要な意味を持っています。
- Volume(データの量)
- Variety(データの種類)
- Velocity(データの発生頻度・更新頻度)
つまりビッグデータは、単にデータ量の大きさだけを意味する訳ではなく、さまざまな要素を複合的に含んだ言葉である、という点を覚えておいてください。
ビッグデータ分析の手法
一口にビッグデータ分析とは言っても、その分析手法は多岐にわたります。選択する分析手法ごとに特徴が異なるため、自社の状況に応じて最適なものを選ぶことが大切です。
代表的な分析手法としては、以下の5つが挙げられます。
- クロス集計
- ロジスティック回帰分析
- 決定木分析
- アソシエーション分析
- クラスター分析
ここからは、それぞれの分析手法について詳しく見ていきましょう。
クロス集計
クロス集計は、集めたデータを縦軸と横軸に振り分けて、わかりやすく集計・表現できる手法です。例えば、居住地域別に複数のアンケートを実施することで、地域ごとの傾向や特徴などを導き出すことができます。
クロス集計を実行する場合、一般的にはアンケートを利用します。まずはデータを分析したい対象を明確化し、その属性からアンケートを取得します。一度のアンケートで十分にデータを得られなかった場合は、同様のアンケートを何度も繰り返して、精度を高めていきます。
クロス集計はビッグデータ分析の中でも一般的な分析手法であり、業種や規模を問わずに様々な企業で使われています。複雑な計算を必要としないケースが多いため、気軽に取り組める点が大きなメリットだと言えます。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、複数の変数をもとにして、特定事象の発生確率を予測・説明できる手法です。異なる複数のデータを比較し、定量的に分析することで、その結果が生じた原因や理由を突き止めることができます。
ロジスティック回帰分析を行う場合、はじめに異なるデータ同士の相関関係を定量的に分析し、それらをもとに確率を算出します。例えば、特定の受験者が資格試験に合格する確率をロジスティック回帰分析で求めるシーンを考えてみましょう。
まずは受験者に対して「勉強時間」や「睡眠時間」、「学歴」などの要素をヒアリングします。そして、これらの情報をもとに分析を行うことで、各要素が資格試験の合格にどのような影響を与えるのか?を可視化でき、得られた結果を用いて特定の受験者の合格率を算出することができます。
このように、ロジスティック回帰分析は分析結果に対する理由を推察するのに役立ちます。資格試験に合格できた要因が睡眠時間なのか、もしくは勉強時間なのか、など、具体的な理由を把握可能になります。これをビジネスに応用すれば、とある事象が発生した要因を明確化でき、その後の戦略策定に反映することができます。
決定木分析
決定木分析は、複数要素を含んだデータを順番に分析することで、樹形図式に結果を表現できる手法です。主にアンケートなどを使ってクロス集計を何度も実行し、これにより複数要素をもとに分析結果の要因やデータ同士の関係性を見える化することができます。
先ほど、クロス集計の手順をご紹介しましたが、決定木分析のやり方を一言で表すと「クロス集計を繰り返す」というものになります。アンケート結果をもとにクロス集計を反復的に実施することで、樹木のような経路図が作成されます。これにより、アンケートを実施した対象の属性ごとの行動・思考パターンを可視化できるのです。
決定木分析を活用することで、複数回のアンケート結果から顧客属性ごとの傾向を予測することができ、そのパターンをもとに顧客を複数のグループに分類することが可能になります。そのため、自社でサービスや商品を開発・販売している企業が、今後の戦略を立てていく上で有効な分析手法だと言えます。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、分析対象となる複数のデータに対して、それぞれの相関関係を発見できる手法です。データそのものを眺めているだけでは法則や相関関係は見えてきませんが、このアソシエーション分析で複数データを解析することで、隠されている法則や規則性を見つけ出すことができます。
アソシエーション分析を行う際によく用いられるデータとしては、顧客の購買データが挙げられます。顧客が何の商品を購入したのか?というデータを起点として、その顧客が他にどのような商品を購入しているのかを調べます、これにより、顧客の行動パターンを可視化でき、データの相関性を導き出せるのです。
アソシエーション分析は様々なシーンで活用されていますが、代表的な活用事例としては EC サイトが挙げられます。特定の商品を購入した顧客が興味を持ちやすい別の商品を事前に把握できていれば、その商品をリコメンドすることで、効果的な販売導線を作ることができます。
クラスター分析
クラスター分析は、データ全体の類似度を分析・グループ分けすることで、傾向や特徴を把握できる手法です。異なる要素が混在している集団の中から、互いに類似しているものをグルーピングし、そのグループごとに分析を行うことで、データ同士の相関性や傾向などを把握することができます。
例えば、アンケートの設問項目や回答項目を内容の類似性でグルーピングします。そして、各グループの特徴を調べたり、クロス集計を実行したりすることで、グループごとの行動パターンや傾向を分析できるのです。
クラスター分析は異なる情報同士の相関関係を把握できるため、顧客の特性分析やブランドのポジショニング分析などに役立てることができます。場合によっては、顧客の潜在ニーズを見える化できるため、今後の戦略立案に有効な情報を得ることが可能になります。
ビッグデータ活用の手順
ここまで、ビッグデータ分析の手法をご説明しましたが、データは分析するだけでは意味がありません。分析した結果を今後の意思決定に活用してこそ、真の価値を発揮します。また、大前提として、ビッグデータ分析を行うためには、必要なデータを事前に収集する必要があります。
このように、ビッグデータを効果的に活用するためには「データ分析」だけを考えていてはいけません。データ分析はビッグデータ活用における一つのフェーズにしか過ぎず、全体のプロセスを正しく理解することで、自社のビッグデータを効率的に活用できるようになります。
本章では、ビッグデータを効果的に活用するための手順を具体的な4つのステップに分けてご説明します。
STEP 1.仮説に基づき必要なデータ収集
ビッグデータを活用するためには、分析用のデータを収集する必要があります。しかし、何も考えずに様々なデータを集めた場合、思うように活用が進まない可能性があります。そのため、ビッグデータ活用を効率的に進めるためには、まず仮説を立てて検証に必要なデータを逆算し、収集することが大切なポイントです。
必要以上のデータを取得した場合、無駄なコストや手間が発生します。そのため、初期段階から集めるべきデータの種類を明確化し、データ分析の手法や最終的なデータの活用方法までを考慮した上で、データ活用の全体設計を行っていく必要があります。
STEP 2.自社に適した分析手法の選択
必要なデータを収集した後は分析を行いますが、一口に「データ分析」と言っても様々な種類があります。そのため、自社が検証したい内容を踏まえて、最適な分析手法を選択してください。
データ分析手法の詳細は前章でご説明した通りです。以下、それぞれの分析手法について、改めて名前と概要を表でまとめます。
分析手法 | 概要 |
---|---|
クロス集計 | 集めたデータを縦軸と横軸に振り分けて、わかりやすく集計・表現できる手法 |
ロジスティック回帰分析 | 複数の変数をもとにして、特定事象の発生確率を予測・説明できる手法 |
決定木分析 | 複数要素を含んだデータを順番に分析することで、樹形図式に結果を表現できる手法 |
アソシエーション分析 | 分析対象となる複数のデータに対して、それぞれの相関関係を発見できる手法 |
クラスター分析 | データ全体の類似度を分析・グループ分けすることで、傾向や特徴を把握できる手法 |
このように、データの分析手法には様々な種類が存在します。それぞれの分析手法について特徴やメリットを正しく理解し、自社に適した分析手法を選ぶことが大切です。
STEP 3.分析結果に基づく意思決定
データ分析が完了したら、その結果に基づいた意思決定を行います。社員個人の「勘」や「経験」で業務判断を行うことは多くのリスクを伴うため、具体的なデータをもとに意思決定を進める必要があります。
自社の仮説が正しければ、得られた分析結果に沿ってアクションを実行すれば問題ありません。一方で、仮説と分析結果が異なっていた場合は、その理由を具体的に追及し、改善すべきポイントを特定してください。
上記のプロセスを繰り返すことで、自社が抱える本質的な課題を見える化でき、次の打ち手を検討することができます。ビッグデータ活用においては、この「分析結果に基づく意思決定」がとても重要なポイントになります。
STEP 4.実行施策の結果分析
ここまでご説明した「STEP 1 〜 STEP 3」がビッグデータ活用における全体の流れになりますが、さらにビッグデータ活用の効果を高めるためには、実行した施策結果を分析する必要があります。データ分析に基づいて実行した施策を改めて結果分析し、その結果を踏まえて次回の施策検討に活かしていきます。
この PDCA サイクルを定期的に回していくことで、改善すべき課題や取るべきアクションを明確化することができ、データドリブンかつ磐石な経営基盤を作ることが可能になります。
ビッグデータの活用において最も大切なことは、1回の分析結果で一喜一憂することなく、データ活用のプロセスを何度も回して、継続的に改善アクションを実行していくことであると言えるでしょう。
データ分析にオススメのツールをご紹介!
データ分析に役立つサービスは数多く存在しますが、サービスごとに強みや特徴は異なります。自社に適していないサービスを選んでしまった場合、思うような効果を得ることはできず、せっかくツールを導入してもコストが無駄になってしまいます。
そこで、本章ではデータ分析にオススメのツールをいくつか抜粋してご紹介します。
BigQuery
BigQuery とは、 Google Cloud (GCP)で提供されているビッグデータ解析サービスであり、フルマネージドなデータウェアハウス(DWH)です。フルマネージドとは、ほぼすべてのサーバー管理をお客様に代わって代行するものであり、ユーザーは手間なくサービスを使うことができます。
また、データウェアハウス(DWH)とは、業務に関する情報をまとめて保管しておくためのデータベースです。様々なシステムからデータを保存し、それを分析するために整理する、データの保管庫のようなイメージです。
BigQuery では、通常では長い時間かかるクエリを、数 TB (テラバイト)、数 PB (ペタバイト)のデータに対し数秒もしくは数十秒で終わらせることができます。100 % クラウドで提供されているため、サーバーレスでスケーラビリティがあり、非常にコストパフォーマンスに優れています。
さらに、他の多彩な Google Cloud (GCP)の提供するサービスともシームレスに連携もでき、扱いやすいサービスの一つとなっています。データ分析を行う上で BigQuery はとても有効なツールの一つであると言えるでしょう。
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Looker
Looker は BI ツールの一種であり、データガバナンスの構築によってあらゆる部門・チームによる正しいデータの取得を可能にし、各種ツールとの連携までをカバーするデータプラットフォームとなっています。2019年に正式に Google Cloud (GCP)の一員となりました。
一般的な BI ツールは集計や可視化の機能に特化したものが多いですが、 Looker はデータモデルの作成や集計、可視化、データ連携、データのエクスポートまで、幅広い範囲をカバーする機能を搭載しているため、自社のデータ分析を力強くサポートしてくれます。
Looker に関心のある方は以下の記事が参考になります。
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Google Cloud Storage (GCS)
Google Cloud Storage (GCS)は Google が提供するオブジェクトストレージサービスであり、オブジェクトストレージとは「オブジェクト」という単位でデータを管理するストレージシステムです。
オブジェクトはデータおよびメタデータから構成されており、オブジェクトを格納するための場所は「バケット」や「コンテナ」と呼ばれています。オブジェクトに関してはサイズや数に制限がないため、大容量データを保存する際に最適なサービスとなっています。
GCS は画像やテキスト、動画など、様々な形式のファイルに対応しており、アプリケーションのニーズに応じて、何度でもデータを追加したり取り出したりできます。保存されているオブジェクトには、 ID やメタデータ、属性、そして実際のデータが含まれており、これらによって GCS は Web サービスの提供からデータ分析まで、様々なシーンで役立ちます。
また、 GCS の大きな特徴として高いセキュリティレベルが挙げられます。 GCS では、保存時・転送時にすべてのデータが自動的に暗号化されるため、手間なく安全に自社のデータを管理することができます。このように、 GCS はとても利便性の高いオブジェクトストレージだと言えるでしょう。
AlloyDB for PostgreSQL
AlloyDB for PostgreSQL は、要求の厳しいエンタープライズデータベースワークロードに対応するフルマネージドの PostgreSQL 互換データベースサービスです。
Google の強みと、人気の高いオープンソースデータベースエンジンの 1 つである PostgreSQL を組み合わせ、優れたパフォーマンスやスケーリング、可用性を実現しています。
まとめ
本記事では、ビッグデータの基礎的な内容に加えて、ビッグデータ分析の手法や手順など、あらゆる観点から一挙にご紹介しました。
近年、データ分析の重要性は年々高まっており、企業が効率的な成長を遂げるためには、自社が保有するビッグデータを効果的に分析・活用することが重要です。ビッグデータの分析手法は多岐にわたりますが、手法ごとに特徴や強みは異なるため、それぞれの違いを正しく理解して、適切な分析手法を選択することが大切です。
また、ビッグデータは分析することだけが目的ではなく、その分析結果を今後の意思決定に反映することで真の価値を発揮します。この記事で解説した4ステップを意識して、効率的なビッグデータ活用を検討してみてください。
ビッグデータを分析するためのツールは数多く存在しますが、効率的にデータ活用を進めたいのであれば Google Cloud (GCP)がオススメです。 Google Cloud (GCP)に内包されている BigQuery を使うことで、多彩な機能や高速データ処理など、企業は様々なメリットを享受することができます。
本記事を参考にして、 Google Cloud (GCP)の導入および BigQuery の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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